ホルン奏者になりたかった広瀬勇人氏。そんな広瀬氏の吹奏楽曲は、低音管楽器や打楽器が活躍する曲が多く見られます。また、初心者が演奏しやすい曲も多く、吹奏楽の楽しさを教えてくれます。
道を拓く~ホルン奏者の夢から吹奏楽作曲者へ
広瀬勇人氏は、”日本人初のヤン・ヴァンデルローストの弟子”として知られています。しかし、そこにたどり着くまでには紆余曲折がありました。高校時代、ホルンに魅了された広瀬氏はプロを目指します。
ここでうまくいかなかったことが”作曲家広瀬勇人”を生みました。”あまり興味がなかった”作曲を専門学校でとことん勉強。首席で卒業後は、ボストン音楽院に進みます。しかしそこでも、クラシック(現代音楽)作曲で自身の限界を感じます。
そこで立ち止まらず、管楽器の作曲家を目指して、ヴァンデルロースト氏本人に猛アタック。吹奏楽作曲で世界的に有名なヴァンデルロースト氏の元で学びながら、「音楽はその人自身を写す」と強く意識するようになりました。
小さなものにも喜びを感じるようになった広瀬氏の音楽は「無理なくよく鳴る」として定評があります。
3つのアメリカの風景: Three American Landscapes
開拓時代の古き良きアメリカをイメージして作られた3部構成の吹奏楽曲は、小編成でグレード3ながら、伸びやかで雄大な印象を与えます。どこか懐かしさを感じさせるメロディーは、聴く人にすんなりと届き、気持ちよさを感じさせます。
日常をいとおしむ広瀬勇人氏の優しさが表現された作品で、聴いていると思わず深呼吸をしたくなる曲です。
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[吹奏楽-販売譜] 3つのアメリカの風景: Three American Landscapes 作曲:広瀬勇人(Hayato Hirose) 編成:小編成 グレード:3 演奏人数の目安:16人 ※原則として各楽器1名(optionalは-1、div.は+1)で算出 演奏時間:8分5秒 出版社:フォスターミュージック(fostermusic Inc.) |
夢幻(ゆめまぼろし)の如くなり: Like a Vain Dream
2016年の新譜。2015年名古屋市立伊勢山中学校吹奏楽の委嘱で作曲されました。織田信長が好んだ謡曲「敦盛」。その一節をタイトルにしたこの曲は、信長の出発点とも言える桶狭間の戦いでの勝利をイメージしたものと広瀬勇人氏は記しています。
小編成でも、重厚で壮大な音楽を聴かせられるというのが、まだ小さかった信長軍に通じるところでしょうか。最小11人で演奏が可能ですが、中大編成になれば、吹奏楽としてさらに迫力のある曲になるでしょう。広瀬氏らしい、重低音の管楽器が活躍する作品。
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[吹奏楽-レンタル譜] 夢幻(ゆめまぼろし)の如くなり: Like a Vain Dream 作曲:広瀬勇人(Hayato Hirose) 編成:小編成 グレード:3+ 演奏人数の目安:11人 ※原則として各楽器1名(optionalは-1、div.は+1)で算出 演奏時間:6分20秒 出版社:フォスターミュージック(fostermusic Inc.) |
こびとの森: Dwarf’s Forest
こびとが住むといわれる北海道の森をイメージした吹奏楽作品。さまざまなテンポが現れるファンタジックな一曲です。
最低9人で演奏可能でグレードも押さえてあるため、楽器を始めて間もない人が多い小さな吹奏楽団でも演奏することができます。キラキラとした音色で吹奏楽を楽しんでほしい作品です。
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[吹奏楽-レンタル譜] こびとの森: Dwarf’s Forest 作曲:広瀬勇人(Hayato Hirose) 編成:小編成 グレード:2 演奏人数の目安:9人 ※原則として各楽器1名(optionalは-1、div.は+1)で算出 演奏時間:5分44秒 出版社:フォスターミュージック(fostermusic Inc.) |
こもれびの坂: The Leaves and Sunshine
最低8人で演奏可能の吹奏楽作品ですが、”工夫によってはそれ以下でも演奏可能”と広瀬勇人氏が記しています。グレードも押さえてあるので、楽器を始めたばかりの人でも演奏しやすいだけでなく、経験を積んだ人が丁寧に作り込むことで新たな発見ができる楽譜となっています。
木が生い茂る緩やかな坂を行き交う人々を描いた作品は、こもれびの中をさわやかに吹き抜ける風を運んでくることでしょう。
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[吹奏楽-レンタル譜] こもれびの坂: The Leaves and Sunshine 作曲:広瀬勇人(Hayato Hirose) 編成:小編成 グレード:2+ 演奏人数の目安:8人 ※原則として各楽器1名(optionalは-1、div.は+1)で算出 演奏時間:4分45秒 出版社:フォスターミュージック(fostermusic Inc.) |
オルフェの竪琴: The Lyre of Orpheus
母校尚美学園の委嘱を受け、ギリシャ神話のオルフェウスの逸話をもとに広瀬勇人氏が作曲した作品です。妻を失って悲しみにくれるオルフェウスが勇気を出して冥界へと進み、冥界の王の前で竪琴を演奏、妻を連れ戻す許しを得ます。喜んで地上に急ぐ2人。
しかし、あと一歩というところでオルフェウスは妻を振り返り、妻は再び冥界へと沈んでいきます。悲しみと喜びが現れる、ドラマティックな曲です。
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[吹奏楽-販売譜] オルフェの竪琴: The Lyre of Orpheus 作曲:広瀬勇人(Hayato Hirose) 編成:小編成 グレード:4 演奏人数の目安:21人 ※原則として各楽器1名(optionalは-1、div.は+1)で算出 演奏時間:7分3秒 出版社:フォスターミュージック(fostermusic Inc.) |
低音を響かせる広瀬勇人氏の吹奏楽曲にトライ!
挫折をしても道を切り拓き、夢の形を変えて音楽の世界で活躍する広瀬勇人氏。その前向きで若々しい精神が、楽曲にも現れています。
低音の管楽器がしっかり働くことで、曲全体が聴きやすかったり、ドラマティックになったりということを実感できるのが広瀬氏の吹奏楽曲。少人数でも吹奏楽の醍醐味を教えてくれる広瀬氏の曲にぜひトライしてみてください。
>>広瀬勇人に関する作品一覧はこちら
吹奏楽を柱とした音楽出版社として2008年に設立いたしました。 「フォスター」という単語には、育てる・育成するといった意味があり、日本の吹奏楽をもっと元気に楽しく発展させていきたいという思いをこめています。みなさまのブラバンコンシェルジュとして、様々な情報を発信していきます。