吹奏楽界で爆発的な人気作品を生み続ける樽屋雅徳氏。なかでも代表曲「マードックからの最後の手紙」は2008年のリリースからその人気は衰えることを知りません。思い出深い曲のひとつに挙げるかたも多いのではないでしょうか?
この記事では、樽屋雅徳の最新作と、近年コンクール自由曲としても人気急上昇中の作品をご紹介します。
全曲試聴可🎧♫
実際の演奏動画もあります。演奏に加え、セッティングなども参考にしてください。選曲にお役立てくださいね。
タイトルに思いを詰めた樽屋雅徳作品
樽屋氏の作品タイトルを眺めていると、小説を選んでいるような感覚になりませんか?
“作家はタイトルを決めるのに一番神経を使う”といいますが、樽屋雅徳氏もまた、楽曲のタイトルに強い想いを込めており、音楽的な魅力もさることながら文学的素養の深さもうかがえます。
楽曲のテーマは、文学作品、神話・伝説、歴史上の人物や事件などさまざま。ひとつひとつのテーマを学んだ上で紡ぎ出される楽曲は、感情表現や情景描写がとても緻密で、実にドラマチックです。
“小説を深めるには行間を読む”といわれるように、樽屋作品もまた、ひとつひとつの音への想いを深めることで表情を変えていくのかもしれません。物語を味わうように樽屋雅徳作品を奏でてください。
樽屋雅徳 最新作
サントス・デュモンの大空への夢(2024年版)
1901年に飛行船でエッフェル塔の周回に成功するなど数々の飛行記録を打ち立てた飛行家であり、またパリの社交界ではファッション・リーダー的存在でもあったサントス・デュモン。彼の飛行機への情熱と、数々の困難をものともせず挑戦し続ける姿をイメージして2012年に作曲されました。
このたび玉名女子高等学校吹奏楽部のために加筆修正され、改訂版としてリリース。スケールアップした「サントス・デュモンの大空への夢」をお楽しみください。
比較記事もアップしていますので、ぜひそちらもご覧くださいね!

- 作編曲: 樽屋雅徳
- 演奏形態: 吹奏楽大編成(42パート)
- グレード: 4
- 演奏時間: 8分45秒
- 出版: フォスターミュージック(FML-0373)
- 発売日: 2025/02/27
最新動画
飛龍の鵠(ひりゅうのくぐい)
日本が独自文化を守り続けた鎖国から明治維新へと移行した激動期、西洋の風潮を取り入れようと奮闘した英雄たちの想いを、和と洋が交錯する音楽で描きました。
英雄を意味する「飛龍」、弓の的や目的を意味する「鵠」をかけ合わせ、明治の偉人たちが見ていた未来を表現しています。
- 作編曲: 樽屋雅徳
- 演奏形態: 吹奏楽大編成(38パート)
- グレード: 4+
- 演奏時間: 8分30秒
- 出版: フォスターミュージック(FML-0164)
- 収録:第19回東日本学校吹奏楽大会【高等学校部門】(CD2枚組)
- 発売日: 2016/05/12
無辜の祈り
2013年9月、東日本大震災から2年半が経とうとしていた東北を訪れた際の印象が「奇跡の一本松」「再び海へ」「ほんとうの幸福」の3部構成で綴られた作品です。無辜(むこ)=何も罪のない人々、街、ものが、深い傷を負い苦しい現実と戦いながらも心から笑顔になれる日が一日でも早く訪れますようにと祈る気持ちが込められています。

- 作編曲: 樽屋雅徳
- 演奏形態: 吹奏楽中編成(33パート)
- グレード: 4
- 演奏時間: 7分3秒
- 出版: フォスターミュージック(FML-0120)
- 収録:コンクール自由曲ベストアルバム6「無辜の祈り」
- 関連情報:吹奏楽「無辜の祈り|樽屋雅徳」を解説!楽曲テーマ、編成、演奏ポイントまとめ
- 発売日: 2014/03/06
眠るヴィシュヌの木
眠る神ヴィシュヌが夢見る宇宙と冒険を音で描く壮大な作品。幻想と神秘が交差する響きが、聴く者を神話の旅へと誘います。

- 作編曲: 樽屋雅徳
- 演奏形態: 吹奏楽大編成(43パート)
- グレード: 4+
- 演奏時間: 8分23秒
- 出版: フォスターミュージック(FML-0194)
- 収録:ワコーバンドコレクション2017
- 発売日: 2017/02/22
樽屋雅徳作品 徹底解説
人気楽曲の編成、バージョン違いを徹底解説!各版の魅力を記事にまとめていますので、ぜひ参考にしてくださいね。
マードックからの最後の手紙(通常版・特別版・小編成版・2021年版)
斐伊川に流るるクシナダ姫の涙(中編成版・小編成版・2022年版)
想ひ麗し浄瑠璃姫の雫(中編成版・小編成版・コンポーザーズ・カット版)
November 19(大編成版・Revised Edition)
Crossfire(November 22/2023 ed. – November 22 J.F.K)
サントス・デュモンの大空への夢
無辜の祈り
吹奏楽コンクール注目作品
Crossfire 2023 ed. – November 22 J.F.K
土気シビックウインドオーケストラの23枚目のアルバム収録にあたり2019年に作曲された「Crossfire – November 22」を、玉名女子高等学校の依頼により大幅に改訂し、コンクールでもカットなしで演奏できるよう凝縮。1963年11月22日から60年を経てもなお多くの不可解な謎を残し、数々の著作やドキュメンタリー、劇映画の題材になってきた世紀の大事件を音楽で描きました。
- 作編曲: 樽屋雅徳
- 演奏形態: 吹奏楽大編成(44パート)
- グレード: 4+
- 演奏時間: 7分30秒
- 出版: フォスターミュージック(FML-0357)
- 収録:【Blu-ray】Japan’s Best for 2023 高校編 第71回全日本吹奏楽コンクール全国大会
- 関連情報:「Crossfire – November 22|樽屋雅徳」を比較&解説!楽曲テーマ、編成、演奏ポイントまとめ
- 発売日: 2024/03/27
白虎繚乱~なれし御城に残す月影~
白虎隊の壮絶な歴史を描きました。哀愁漂うメロディから始まり、中間部では勇気や絆を表現、終結部では白虎隊の戦友たちとの絆を感じさせて幕を閉じます。会津の武士たちの正義と誇り、犠牲へ思いを馳せながら演奏してください。
モーガンの幸運の鷲
約80年の間に37回航海の中で一度も海難にあったことがないという幸運の捕鯨船、チャールズ・W・モーガン号。樽屋氏が得意するドラマティックな表現で、航海の様子や、捕鯨船の過酷さ、そして海洋の力強さを表現した作品です。

モーガンの幸運の鷲|樽屋雅徳
- 作編曲: 樽屋雅徳
- 演奏形態: 吹奏楽小編成(17パート)
- グレード: 3
- 演奏時間: 6分35秒
- 出版: フォスターミュージック(FML-0343)
- 発売日: 2024/01/10
とこしえの声~いまここに立つ母の姿~
鹿児島県知覧にある特攻平和会館を訪れ、特攻隊員たちが綴った母への感謝と、自分が先に命を絶つことを許してほしいという遺書を目にし、少年たちの覚悟や、戦地に旅立つ複雑な心境、そんなわが子を思う母の愛と突撃直前に考えたであろう大切な母への思いを表現した作品です。
2023年度全日本吹奏楽コンクール全国大会において、柏市立柏高等学校が金賞を受賞しました。
- 作編曲: 樽屋雅徳
- 演奏形態: 吹奏楽大編成(40パート)
- グレード: 5
- 演奏時間: 9分11秒
- 出版: フォスターミュージック(FML-0210)
- 収録:コンクール自由曲ベストアルバム10「とこしえの声」
- 発売日: 2018/02/15
キリストの復活~ゲツセマネの祈り
最後の晩餐の後、キリストは〈ゲツセマネ〉と呼ばれたオリーブの木の広場に行き、目の前に迫る十字架を恐れ、憂い悲しみ祈り続けていたと言われています。そんなキリストの深い悲しみや葛藤、祈り、そして、復活を描いた作品です。
2023年度全日本吹奏楽コンクール東日本大会にて、日本航空高等学校が金賞を受賞しました。

- 作編曲: 樽屋雅徳
- 演奏形態: 吹奏楽大編成(38パート)
- グレード: 4
- 演奏時間: 7分50秒
- 出版: フォスターミュージック(FML-0105)
- 収録:交響詩「モンタニャールの詩」土気シビックW.O. Vol.17
- 発売日: 2013/05/24
蒼き三日月の夜
伊達政宗を題材に初陣・元服、幼少期の回想、父の死と熾烈を極める戦い、思いはせる三日月の夜、政宗の最期から現代までと、生涯を5つの場面に分けて辿った作品です。マンドリン合奏の曲として作曲した作品を吹奏楽用に加筆修正されました。 Fl, Asax, Claの印象的なソロも聴きどころのひとつです。
ペドロの奇跡の夜
一人の少年「ペドロ」の優しさあふれる行動とその心が表現されたメロディーは、まるで映画音楽のようです。雪の中の街の教会へと続く道、ペドロの優しい心から、ようやく街中に鳴り響かせることができた美しい鐘の音、それぞれのシーンを想像しながら演奏してみてはいかがでしょうか。
【まとめ】想いを観客に届ける樽屋雅徳作品
樽屋雅徳氏のドラマティックなメロディーは、聴く人によっていろいろな“なにか”を思い起こさせます。
歴史上の偉人であったり、大好きなマンガの主人公であったり、自分の経験や想いであったり、広々とした風景や風であったり…。
このような作品は、”ただ音を追って合わせる”だけでなく、”気持ちを合わせ”て演奏すると、音の深みがぐっと増してくるでしょう。“なにか”を思い起こさせるメロディーは、吹奏楽になじみのない観客も聴きやすいもの。
コンサートなどでもおすすめな樽屋雅徳作品をぜひ多くの方に楽しんでいただければと思います。
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吹奏楽を柱とした音楽出版社として2008年に設立いたしました。 「フォスター」という単語には、育てる・育成するといった意味があり、日本の吹奏楽をもっと元気に楽しく発展させていきたいという思いをこめています。みなさまのブラバンコンシェルジュとして、様々な情報を発信していきます。