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吹奏楽「Crossfire – November 22|樽屋雅徳」を比較&解説!楽曲テーマ、編成、演奏ポイントまとめ

吹奏楽曲の中で人気楽曲の1つである「Crossfire – November 22(クロスファイヤ ノーベンヴァー22)」。 人数や楽器構成、グレード、演奏時間、曲のテーマやストーリーなど、演奏や鑑賞がより豊かになる情報をぎゅっとまとめました。コンクール自由曲の選曲や楽曲分析のために情報収集をしている方、必見の解説記事です。

目次

「 Crossfire – November 22」のテーマ・ストーリー

Crossfire – November22」は、樽屋雅徳が作曲、ジョン・F・ケネディ暗殺事件をテーマにした吹奏楽曲です。土気シビックウインドオーケストラの23枚目のアルバム収録にあたり2019年に作曲されました。

Crossfireとは日本語で「十字砲火」、弾丸が交差するさまを指す言葉です。November22は暗殺事件が起こった1963年11月22日を指しています。

1961年1月20日、アメリカ合衆国第35代大統領に就任したジョン・F・ケネディ。当時の年齢は43歳で、選挙で選ばれた大統領としては最も若い大統領でした。そして2年後。1963年11月22日、ダラス市内をパレード中にケネディ大統領が銃撃され死亡する事件が発生、アメリカ全土を震撼させました。頭に受けた2発目の弾が致命傷となり、ほぼ即死だったと言われています。

大統領狙撃から約1時間半後、犯人としてリー・ハーヴェイ・オズワルドが逮捕されます。そして、逮捕からわずか2日後、そのオズワルドがダラス警察署内で実業家ジャック・ルビーによって射殺されます。この現場はTV中継されており、数百万人が射殺の瞬間を目の当たりにするという衝撃的な事件となりました。

暗殺後に副大統領から昇格したジョンソン大統領は、オズワルドの単独犯行と結論づけ早々と捜査を終わらせようとしましたが、パレードを見物しようと8ミリカメラを構えていたエイブラハム・ザプルーダーが、偶然にも銃撃を受けた瞬間の大統領の姿をはっきりと映していることから、そのフィルムが分析され、別に狙撃犯がいたのではと考えられることとなります。

その後、通称「ウォーレン委員会」と呼ばれる調査委員会が設置され、最終的な結論としてオズワルド容疑者の単独犯行であると断定されました。

半世紀以上経った今なお、多くの疑惑が残され、さまざまな陰謀説は後を絶ちませんが、近年の科学鑑定や調査報道ではやはりウォーレン会議の結論が最も真実に近いと見なされていたりと、ケネディ暗殺事件はその衝撃と謎に包まれて、歴史に残る事件となっています。

楽曲の特徴

まずは、作曲家・樽屋雅徳氏からのコメントをチェックしてみましょう。

曲は冒頭から「謎」と「陰謀」と「ケネディの大統領就任」を表現し、賛美歌の「God Be With You Till We Meet Again」を奏で再び深い「謎」へ展開します。

その後Adagioでケネディの「無念」を奏で、彼の「記憶」の中をアメリカ国歌を演奏する軍楽隊が通過していく様子を表現しています。

やがて「希望」や「無念」が入り混じった心情を、強奏のコラールとその中の細かいパッセージによって表現し、再びテンポはAllegroになり「謎」を残し曲は幕を閉じます。(樽屋雅徳)


銃の発砲音を思わせる重低音のパーカッション、世紀の事件の事実を述べるかのような非常に衝撃的な冒頭部で、聴く物を一気に物語の中に引き寄せていきます。

凶弾に倒れたジョン・F・ケネディ。彼の脳裏に浮かぶ情景や想いを哀愁に満ちた壮大なスケールで奏でます。樽屋氏がコメントであげている賛美歌やアメリカ国歌が効果的に使われていて、彼が見たであろう”輝かしいアメリカ”をイメージさせる美しい場面です。

クライマックスは、さまざまなパートが掛け合いながらメロディを演奏することで渦巻く謎を表現。目まぐるしく展開が変わります。

楽曲全体で3連符が多用されており、緊張感を与える役目を担っています。グレード5のハイレベル楽曲だけあり、早く細かなパッセージが多いのも特徴です。テンポを感じながらしっかりと拍におさめて演奏する確かなスキルが求められます。

CrossfireとCrossfire 2023 ed.の違い

コンクールでもカットなしで演奏できるようCrossfireの要素を凝縮した形となっています。

冒頭は讃美歌「God Be With You Till We Meet Again」にはじまり、謎と陰謀が渦巻くAllegroへ。でケネディの無念さを表現したAdagioを経て、ケネディ氏の記憶の中をアメリカ国歌を演奏する軍楽隊が通過していく様子が走馬灯のように描かれ、強奏のコラールと細かいパッセージによって、希望や無念が入り混じった心情を表現し、再びテンポはAllegroとなって謎を残し、曲は幕を閉じます。

編成(演奏人数)は?

「Crossfire – November22」は、吹奏楽大編成46人〜、「Crossfire 2023 ed. – November 22 J.F.K」も、大編成ですが44人〜演奏可能です。


原作との大きな違いはピッコロトランペットの有無、クラリネットのdiv.の有無、コントラアルトクラリネットかコントラバスクラリネットであるかという点です。パーカッションは比較的標準的な楽器で演奏可能です。

Crossfire – November22
ピッコロ/フルート1,2/オーボエ1,2(コールアングレ)/バスーン/クラリネット(E♭、B♭1〜3、アルト、バス、コントラアルト)/サクソフォン(ソプラノ、アルト1,2、テナー、バリトン)/トランペット1〜3/ホルン1〜4/トロンボーン1〜3/ユーフォニアム/テューバ/弦バス/ティンパニ、パーカッション1〜5、シロフォン、チャイム、マリンバ/ピアノ/ハープ

主要ソロ:フルート
○B♭トランペット最高音:High C

Crossfire 2023 ed. – November 22 J.F.K
ピッコロ /フルート 1,2 /オーボエ 1,2(コールアングレ)/バスーン /クラリネット(E♭、B♭1〜3、アルト、バス、コントラバス) /サクソフォン(ソプラノ、アルト1,2、テナー、バリトン) /トランペット1〜3(フリューゲルホルン、ピッコロトランペット持替)/ホルン1〜4/トロンボーン1〜3/ユーフォニアム/テューバ/弦バス/ピアノ/ハープ/ティンパニ、パーカッション 1〜5、マレット 1〜2

主要ソロ:フルート
○B♭トランペット最高音:High C

セクション原作(46人〜)改訂版(44人〜)
FlutePiccolo
1,2
Piccolo
1,2
OboeOboe 1,
2 (Cor anglais in F)
Oboe 1,
2 (Cor anglais in F)
Bassoon11
ClarinetE♭
B♭ 1(div),2(div),3
Alto Clarinet
Bass Clarinet
Contralto Clarinet
E♭
B♭ 1,2,3
Alto Clarinet
Bass Clarinet
Contrbass Clarinet
SaxophoneS,A2,T,BS,A2,T,B
Trumpet1(div),2(div),3(div)1 (Fl.hn / Piccolo -div.)
2(div)
3
Horn1,2,3,41,2,3,4
Trombone1,2,31,2,3
Euphonium11(div)
Tuba11
String Bass11
Percussion・Timpani
・1(Tam-tam, Suspended Cymbal, Drum Set, Cymbals)
・2(Tom-toms, Cymbals)
・3(Snare Drum)
・4(Whip, Tam-tam, Anvil, Wind Chimes, Tambourine)
・5 (optional)(Bass Drum)
・Xylophone, Chimes
・Marimba
・Timpani
・1 (Suspended Cymbal, High-Hat, Cymbals)
・2 (Snare Drum, Wind Chimes)
・3 (Tom-toms, Whip)
・4 (Bass Drum)
・5 (Tam-tam, Anvil, Tambourine)
・Mallet 1 (Glockenspiel, Xylophone, Vibraphone)
・Mallet 2 (Chimes, Marimba(5oct.), Vibraphone)
ほかPiano
Harp
Piano
Harp

グレード(難易度)と演奏時間

「Crossfire – November22」は、グレード5演奏時間9分30秒程度です。
「Crossfire 2023 ed. – November 22 J.F.K」は、グレード4+ですが、演奏時間は7分30秒程度です。

夏の吹奏楽コンクール自由曲として演奏する際、制限時間の都合によりカットを施す際には場合は編曲申請をしましょう。

異なるバージョン・編成の楽譜はあるの?

2023年夏の吹奏楽コンクールにて、熊本県代表 玉名女子高等学校が「Crossfire 2023ed. ~November22~J.F.K」を演奏しました。

これは、玉名女子高等学校が樽屋氏に改訂を依頼した別バージョンであり、2023年秋現在では楽譜として出版されていません。2024年春以降に出版予定ですので、演奏楽曲の候補にしたい方は、今後の発売動向にご注目ください!

↑2024/03/27レンタル開始となりました!

また、名前が似ていることから同じ楽曲と勘違いされやすいのが「November 19(ノーヴェンバー19)」です。こちらも同じ樽屋雅徳の作曲ですが、「November19」は第19代アメリカ合衆国大統領リンカーンの有名な演説(人民の、人民による、人民のための政治)と南北戦争を題材にした楽曲です(タイトルの11月19日は、ゲティスバーグ演説を行った日のこと)。
アメリカの歴史・政治家をテーマに掲げた楽曲という共通項はありますが、全く異なる楽曲なのでご注意ください。

作曲者は?

作曲家は樽屋雅徳。吹奏楽オリジナル楽曲です。

【略歴】1978年千葉県銚子市生まれ。武蔵野音楽大学音楽学部作曲学科卒業。佐藤博、宮本良樹各氏に師事。フランスで吹奏楽曲「Ardent Overture」を出版。代表作として「絵のない絵本」「民衆を導く自由の女神」「マゼランの未知なる大陸への挑戦」「ラザロの復活」「マードックからの最後の手紙」などがある。全国の吹奏楽団やマーチングバンドからの委嘱も数多く、その作品の多くが国内外問わず広く演奏され、日本でもっとも人気のある作曲家のひとりである。また、作曲・編曲の傍ら、吹奏楽指導やコンクール等の審査員、執筆活動などでも多くの成果を挙げている。2004年~2018年まで銚子市立銚子高等学校の音楽監督を務めマーチングコンテストで全国大会へ、吹奏楽コンクールでは東関東大会、東日本大会へと導く。現在はベルモンテウィンドオーケストラの指揮者・音楽監督を務め、指導者としても高い評価を受けている。

今回のピックアップ楽曲紹介【商品詳細】

Crossfire – November 22

Crossfire 2023 ed. – November 22 J.F.K

「Crossfire – November22」演奏動画紹介

YouTubeで公開されている団体の『Crossfire – November22』演奏動画を集めました。たくさん演奏していただきありがとうございます!
こちらのページで紹介して欲しい、という団体様はぜひご一報ください→お問い合わせ

光ウインドオーケストラ

旭川実業高校吹奏楽部

大牟田高校吹奏楽部

この曲をもっと知りたくなったら

フォスターミュージックサイトには作曲家コメントのフルバージョンをはじめ、サンプルスコアダウンロード閲覧、編成詳細、修正履歴、公式YouTube音源動画など、曲に関する情報を網羅しています。
また、YouTubeで公開されている演奏動画団体の聴き比べができるものもあるので、演奏イメージ作りにもお役立ていただけます。是非ご活用ください。

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