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吹奏楽交響曲の父、ジェイムズ・バーンズ作品おすすめ5選

アルフレッド・リード氏と双璧をなす吹奏楽の作曲家が、ジェイムズ・バーンズ氏ともいわれます。リードが“吹奏楽の父”ならば、バーンズは”吹奏楽交響曲の父”ともいえるでしょうか。
リードが生涯のうちで5つの交響曲を生み出したのに対し、バーンズは2018年に9つの目の交響曲を書き上げ、私の最後の交響曲だと語っています。

壮大な交響曲は、テクニック、音楽性、構成など高レベルの演奏者だけでなく、聴き手も成熟していなければ成り立たない楽曲です。弦楽器の音色のない吹奏楽で、聴かせる交響曲を作るのは並大抵ではありません。
しかし、オーケストラファンをもうならせるハーモニーで吹奏楽交響曲を作り出すのが、ジェイムズ・バーンズ。親しみやすい音楽ながら、新しいハーモニーを紡ぎ出すバーンズのこれからの作品にも期待したいものです。

聴く人を飽きさせないハーモニーと構成が魅力のジェイムズ・バーンズの音楽。交響曲に代表される大曲から、楽しい小品までおすすめの曲を集めました。

目次

交響曲第3番:Third Symphony

「苦悩を突き抜けて歓喜にいたれ」としたのは、ベートーベンの第9交響曲ですが、ジェイムズ・バーンズの交響曲第3番の主題もそこにあります。
かわいい娘を生後半年で亡くした直後に作曲にかかったため、ベースにあるのは”悲劇”。しかし最後には、すべてを受け入れ未来へ進む形となっています。
第1楽章のはじまりは、重々しいティンパニの連打の後、うめきにも似た静かなチューバの独奏が続き、各楽器が順々に悲しみを奏でていきます。第2楽章は”風刺”をテーマとした行進曲風。第3楽章は亡き娘へのオマージュと続き、魂の再生を表現する華やかな第4楽章へ。
フィナーレの第4楽章は、沈んだ気持ちが解き放たれるような旋律です。とくに調や形式で関連性の深い第1楽章と同時に聴くと、その美しさが際だって感じられるでしょう。全演奏40分の大曲ですが、オーケストラ交響曲に引けを取らない珠玉の1曲です。

祈りとトッカータ(呪文とトッカータ):Invocation and Toccata

発表当初、”シリアスなメロディーがジェイムズ・バーンズ作品としては意外”と受け止められた作品です。おどろおどろしい始まり、何かが迫ってくるようなメロディー、トッカータのリズムに合わせた小気味よい打楽器。
聴く人の心の中にある魔法のシーンや不思議の世界を思い出させ、森羅万象を感じさせる音楽です。重圧なメロディーの中に、どことなく軽いメロディーもある、飽きさせない構成で10分があっという間に終わります。

詩的間奏曲:Poetic Intermezzo

豊かな叙情性のある曲で、ジェイムズ・バーンズの代表作。中編成・グレード3・演奏時間7分ほどと、どのような吹奏楽団でも演奏しやすい条件が揃っていますが、テクニックよりも豊かな表現力が必要とされる曲です。なによりホルンの名手がいることが条件とされる作品ですので、実際のグレード感とは少し違うかもしれません。
始まりの後、ホルンのソロでまず奏でられるのが、切なく美しい主題のメロディー。「詩的」というタイトルにふさわしく、歌が感じられるようなハーモニーが続きます。
切なく憂いを秘めた前半から、霧が晴れていくような穏やかなメロディーに移り、未来を感じさせるパワーへ。そして、最後は再び静かに締めくくられます。力強さや華やかさではなく、響きを聴かせる吹奏楽の名曲!

パガニーニの主題による幻想変奏曲:Fantasy Variations on a Theme by Niccolo Paganini

バイオリン曲として作られたパガニーニの「24の奇想曲」。最終章24番は、多くの作曲家たちが「パガニーニの主題による変奏曲」として編曲しています。ピアノや管弦楽への編曲が多いなか、ジェイムズ・バーンズが吹奏楽曲にアレンジ。
短い主題の旋律が、さまざまな形で何度も現れる名曲を、吹奏楽の歯切れのよさや打楽器をアクセントに生かした編曲にしています。
吹奏楽で交響曲を作曲するジェイムズ・バーンズらしく、オーケストラにも引けを取りません。豊かな音楽性と高度な技術が必要ですが、聴く人を飽きさせない名曲です。

ルロイ・アンダーソン・ポートレイト:Leroy Anderson Portrait

親しみやすいポップスオーケストラの曲を多く残している、ルロイ・アンダーソン。日本でもBGMとして、よく使用されています。なかでもなじみのある4曲を、ジェイムズ・バーンズがメドレーに編曲しました。
柔らかな「セレナータ」、リズムが楽しい「シンコペイッティッド・クロック」、ミリオンセラー曲になった「ブルー・タンゴ」。
そして、運動会でおなじみの「トランペット拭きの休日」。吹奏楽のさまざまな楽器を存分に生かし、キラキラした音色が次々と続きます。地域や学校のコンサートの1曲としてもおすすめ。

ジェイムズ・バーンズの曲で輝かしい演奏を

オーケストラに比べ、吹奏楽の楽器は限られます。限られた音の中で、新しいハーモニーを作り出していくジェイムズ・バーンズ。そのハーモニーは、吹奏楽が得意な、圧倒的なパワーの形だけでなく、叙情豊かで音楽性の高いものも多く、聴き手を魅了します。
それはとても輝かしい音楽。吹奏楽器と吹奏楽を知り尽くしたバーンズの曲を、ぜひレパートリーに加えてみてください。

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