さまざまなジャンルの作曲で知られる天野正道氏。その原点は中学の吹奏楽部でゼロから自分で音楽を作ったこと。吹奏楽で作曲の楽しさを知った天野氏の吹奏楽曲は、吹奏楽の楽しさと奥深さを伝えます。
天野正道、マルチな作曲の底にあるもの
オーケストラや吹奏楽のみならず、アニメーションや映画音楽でも知られる天野正道氏。コマーシャルやポップスを手がけた時期もあり、自ら「まあジャンル問わずですね」というほど、作品は多岐にわたっています。
活動は国内のみならず、海外にも。なかでもワルシャワフィルとの関わりが、天野正道氏に大きな影響を与えたと言ってもよいでしょう。ワルシャワで氏はコソボ紛争を肌で感じます。争いの悲惨さを身近に感じるのです。
以来、天野氏は音楽を通して祈りを捧げてきました。「天野正道の音楽は重い」という人もいます。しかし、それこそが人を愛し、世の理不尽さと真正面から向き合っている証なのではないでしょうか。
鼓響・・・故郷: KOKYOU
秋田吹奏楽団創立30周年記念で作曲された曲を小編成の吹奏楽コンクール用にアレンジした楽譜です。秋田出身の天野正道氏にとって、まさに”故郷”を表現した作品でしょう。
懐かしいのは風景だけでなく、「風景と共にある音」、そして「そのシーンにいる人」、そのようなことを感じさせる楽曲です。インパクトのあるオープニングからお祭り騒ぎの熱狂的なエンディングまで、続くのは和をイメージさせる音。
原典版の解説で天野正道氏は3楽章について、「演奏してくださる皆様の地元に伝わるお囃子を使用することが望ましい」としています。故郷の音を吹奏楽を通して愛してほしいという天野氏の思いが伝わってきます。
[吹奏楽-レンタル譜] 鼓響・・・故郷: KOKYOU 作曲:天野正道(Masamicz Amano) 編成:中編成 グレード:3+ 演奏人数の目安:43人 ※原則として各楽器1名(optionalは-1、div.は+1)で算出 演奏時間:8分26秒 出版社:フォスターミュージック(fostermusic Inc.) 関連商品:[吹奏楽-レンタル譜] 鼓響・・・故郷(原典版): KOKYOU |
プロフォンドゥム〜地底: Profundum
2016年の新譜。”地底”というタイトルがついていますが、天野正道氏はこの曲を”絶対音楽”として作曲したと記し、さらには「具体的な描写は一切していません」ときっぱり言い切っています。
音と音との重なりやリズム、スピード…さまざまな音からまた現れる音を次々に紡いていく絶対音楽。まさに”音を楽しむ”ものです。必要なのは吹奏楽の楽器で美しい音を出すこと、正確なリズム…。中編成でグレード4ですが、吹奏楽団のレベルアップにふさわしい楽譜です。
[吹奏楽-レンタル譜] プロフォンドゥム〜地底: Profundum 作曲:天野正道(Masamicz Amano) 編成:中編成 グレード:4 演奏人数の目安:35人 ※原則として各楽器1名(optionalは-1、div.は+1)で算出 演奏時間:7分48秒 出版社:フォスターミュージック(fostermusic Inc.) |
レトレ・ル・ネオン〜サルトルとボーヴォワール 哲学と愛、そして新しい愛のかたち: L’Etre et le neant – Essai d’ontologie
phenomenologique – (Jean-Paul Charles Aymard Sartre)
埼玉県立越谷西高等学校吹奏楽部からの委嘱により作曲された曲。顧問の要望に応えるのに悩んだ末”French Jazzや浮遊する調性感の16 beatを盛り込んだ”と天野正道は記しています。
タイトルから堅苦しい曲を思い浮かべるかもしれませんが、リズム感がよく躍動感あふれる一曲です。Jazzや16 beatを演奏するために、ティンパニ以外にパーカッションが6人という独特の編成。ノリのよい吹奏楽をお探しの方にピッタリです。
[吹奏楽-レンタル譜] レトレ・ル・ネオン〜サルトルとボーヴォワール 哲学と愛、そして新しい愛のかたち: L’Etre et le neant – Essai d’ontologie phenomenologique – (Jean-Paul Charles Aymard Sartre) 作曲:天野正道(Masamicz Amano) 編成:中編成 グレード:5 演奏人数の目安:42人 ※原則として各楽器1名(optionalは-1、div.は+1)で算出 演奏時間:8分14秒 出版社:フォスターミュージック(fostermusic Inc.) |
ル・ポルトレ・ドュン・ファミィユ: Le portrait d’une famille
”家族の描写”というタイトルの本作は、富山ミナミ吹奏楽団の委嘱で書かれた曲に手を加えた作品です。社会の最小単位である家族。その中で生まれる出来事や人間関係は常にハッピーではありません。
家族を通したさまざまなドラマを吹奏楽曲としたのが、この楽譜です。”portrait”は”描写”という意味のほか、”おもかげ”という意味も持ちます。
天野正道氏が”何よりも指揮者の感性が一番重要”と記しているように、指揮者の持つ家族の面影で曲の表現は変わり、印象も変わるのかもしれません。
[吹奏楽-レンタル譜]ル・ポルトレ・ドュン・ファミィユ: Le portrait d’une famille 作曲:天野正道(Masamicz Amano) 編成:中編成 グレード:4 演奏人数の目安:43人 ※原則として各楽器1名(optionalは-1、div.は+1)で算出 演奏時間:9分8秒 出版社:フォスターミュージック(fostermusic Inc.) |
天野正道氏作曲の吹奏楽曲で祈りの演奏を
”祈り”にもさまざまな形があります。”鼓響”では祭り囃子が取り上げられていますが、”祭り”というのがそもそもは祈りの場です。
天野正道氏作曲の吹奏楽曲には、有形無形の祈りが表現されているように感じます。なによりも「人間であれ」ということを大事にしている天野氏。作品を通して、「人が奏でる音楽のすばらしさ」を体感してください。
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吹奏楽を柱とした音楽出版社として2008年に設立いたしました。 「フォスター」という単語には、育てる・育成するといった意味があり、日本の吹奏楽をもっと元気に楽しく発展させていきたいという思いをこめています。みなさまのブラバンコンシェルジュとして、様々な情報を発信していきます。