何百年も愛され続けるクラシック音楽には無数の美しい旋律、迫力のある壮大なテーマの楽曲があります。
コンクールでもコンサートでも人気の高い、クラシック音楽の吹奏楽編曲作品をピックアップ。なかでも小編成でもチャレンジできる作品を87曲ご紹介します。
吹奏楽をあまり知らないお客様でも一度は耳にしたことがある作品も多いので、満足度の高い演奏会となるでしょう。
小編成吹奏楽向けクラシック編曲
歌劇「トゥーランドット」より|ジャコモ・プッチーニ arr. 内田祥子
イタリアの作曲家ジャモコ・プッチーニが最後に作曲したオペラで、中国の雰囲気が取り入れられています。アリア「誰も寝てはならぬ」は、この楽曲で最も有名なフレーズでしょう。
舞台は北京。祖先の怨念を継ぎ、3つの謎が解けない求婚者を斬首の刑に処すトゥーランドット姫と、彼女に一目惚れした皇子カラフの物語です。原曲のイメージを重視しているため難易度は4+と高めですが、オペラのストーリーに沿って構成されているので美しく壮麗な世界観を感じながら演奏できる楽譜です。
- 作編曲: ジャコモ・プッチーニ arr. 内田祥子
- 演奏形態: 吹奏楽小編成(20 – 23パート)
- グレード: 4+
- 演奏時間: 9分0秒
- 出版: フォスターミュージック(FML-0332)
- 発売日: 2023/11/09
歌劇「蝶々夫人」ハイライト|ジャコモ・プッチーニ arr. 金山徹
ジャコモ・プッチーニ作曲の歌劇「蝶々夫人」は、1904年にミラノ・スカラ座で初演されて以降何度も改定を重ね、1906年の第6版が現在も演奏されている決定版になっています。
この楽譜では、アメリカ国家や日本の曲「宮さん宮さん」などがモチーフとして使われた異国情緒あふれる曲など、7曲が抜粋されています。
歌劇の美しい世界観を小編成でも表現可能にした楽譜ですが、各パートを複数人で演奏しても問題ないので、人数の多い団体さんもぜひ選曲候補に入れてみてくださいね。
- 作編曲: ジャコモ・プッチーニ arr. 金山徹
- 演奏形態: 吹奏楽小編成(22 – 25パート)
- グレード: 4
- 演奏時間: 8分42秒
- 出版: フォスターミュージック(FML-0213)
- 発売日: 2018/02/15
「動物の謝肉祭」より|カミーユ・サン・サーンス arr. 井澗昌樹
ユーモアと風刺の色濃く漂う曲「動物の謝肉祭」の全14曲から5曲が抜粋された楽譜です。
サン・サーンスは「白鳥」を除いた組曲全体の出版を許さず、全曲が刊行されたのは作曲者に死後でした。
楽器の代替ができる箇所が多く比較的幅の広い楽譜となっているため、人数が少ない団体におすすめです。商品詳細ページでは編曲者からの使用楽器に関するアドバイスも掲載しています。
- 作編曲: カミーユ・サン・サーンス arr. 井澗昌樹
- 演奏形態: 吹奏楽小編成(19 – 26パート)
- グレード: 3+
- 演奏時間: 10分0秒
- 出版: フォスターミュージック(FML-0330)
- 発売日: 2023/11/09
「ペール・ギュント」第一組曲より|エドヴァルド・グリーグ arr. 井澗昌樹
エドヴァルド・グリーグの代表作である劇付随音楽『ペールギュント』には、作曲者本人が管弦楽のために編作した組曲が2つ存在します。この楽譜は第一組曲を用いたものです。
グリーグの情緒的側面が現れた美しい雰囲気を大切にしつつ、編曲者のアイディアで第1曲「朝」の主題が他の曲にも流用されることでまとまりのある曲となっています。
- 作編曲: エドヴァルド・グリーグ arr. 井澗昌樹
- 演奏形態: 吹奏楽小編成(18 – 26パート)
- グレード: 4
- 演奏時間: 8分30秒
- 出版: フォスターミュージック(FML-0331)
- 発売日: 2024/01/10
「白鳥の湖」によるパラフレーズ(小編成版)|ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー arr. 井澗昌樹
クラシック音楽でも特に有名な、チャイコフスキーの「白鳥の湖」。この楽譜では、同組曲をベースに多作品の旋律を織り交ぜています。
この楽譜には小編成版の他に大編成版がありますが、編曲者の「編成の大小と音楽的な内容とは無関係であると考えております」とのコメント通りどちらも同等の質感を持っているので、団体の規模等に合わせて演奏しやすい方を選んでみてください。
- 作編曲: ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー arr. 井澗昌樹
- 演奏形態: 吹奏楽小編成(19 – 25パート)
- グレード: 4
- 演奏時間: 8分30秒
- 出版: フォスターミュージック(FMP-0094)
- 発売日: 2022/10/05
「小組曲」より I.小舟にて、IV. バレエ|クロード・ドビュッシー arr. 加養浩幸
原曲は1888年から1889年にかけてピアノ4手連弾のための組曲として作曲されました。初演時の曲の評価は決して高いものではなかったそうですが、のちにドビュッシーの友人であるビュッセルにより管弦楽用の編曲がなされたことによって、評価されるところとなりました。
このアレンジは、1「小舟にて」4「バレエ」の2曲を取り上げ、管弦楽版からのイメージをベースに編曲してあります。かなりの小編成から大編成まで対応が可能ですが、バランスに注意を払って繊細な演奏を目指してください。

- 作編曲: クロード・ドビュッシー arr. 加養浩幸
- 演奏形態: 吹奏楽小編成(21 – 28パート)
- グレード: 3
- 演奏時間: 6分54秒
- 出版: フォスターミュージック(FML-0063)
交響詩「英雄の生涯」より|リヒャルト・シュトラウス / 渚智佳
交響詩「英雄の生涯」は、リヒャルト・シュトラウスが残した7つの交響詩のうち最後の作品です。
元は大規模なオーケストラ編成で約45分の大作ですが、この楽譜では原曲のテーマ性と響きを尊重しながらも中高生でも無理なく演奏できるような難易度になっています。和声やフレーズの大きな流れを意識することでシュトラウスの描いた壮大な音楽が体感できる楽譜です。
ダウランド組曲|ジョン・ダウランド / 足立正
2016年に出版した「ダウランド組曲」のフレックス版。常葉大学附属橘高等学校普通科総合芸術コース吹奏楽専攻様からの委嘱で編み直されました。
最小5人の管楽器奏者で演奏可能。吹奏楽としてもみならず、金管5重奏でも木管五重奏でも演奏できるように書かれているので、アンサンブルコンテストにもご利用いただけます。
YouTubeの演奏は、常葉大学附属橘高等学校 総合芸術コース吹奏楽専攻の皆さん。10名で素晴らしい演奏を披露してくださっています。
〈まとめ〉小編成ならではの繊細さと一体感で描くクラシックの名曲
クラシック音楽の壮大さや重厚さは大編成の醍醐味ですが、小編成だからこそ際立つ“音の輪郭”や“アンサンブルの緊張感”もまた格別です。
一人ひとりの音が響き合い、旋律の美しさや和声の色彩がよりクリアに立ち上がる――そんな小編成ならではの魅力が、今回ご紹介した作品群には詰まっています。
原曲のエッセンスを大切にしつつも、新たな表現に挑戦できるクラシック編曲の数々。ぜひ、あなたのバンドならではの音色で奏でてみてください。
吹奏楽を柱とした音楽出版社として2008年に設立いたしました。 「フォスター」という単語には、育てる・育成するといった意味があり、日本の吹奏楽をもっと元気に楽しく発展させていきたいという思いをこめています。みなさまのブラバンコンシェルジュとして、様々な情報を発信していきます。