吹奏楽では華やかさが求められることの多い金管楽器ですが、金管アンサンブルでは華やかな響きに加え、金管楽器特有の包み込むような柔らかさや温かみなど、また違った表情を見せてくれます。金管楽器のアンサンブルの魅力は、サウンドの幅と言ってもいいでしょう。
新たな金管楽器の魅力を発見できるオリジナル作品をご紹介しましょう。
金管3重奏
ラメント|福田昌範
2020年8月にサカイウインドシンフォニー(茨城県)の委嘱で作曲し、同年のアンサンブルコンテストにて初演されました。
バッハが好きだった友人(故人)に想いを寄せながら、全体的にはバロック調の作品に仕上げられた厳かな作品です。
- 作編曲: 福田昌範
- 演奏形態: 金管3重奏(Trp./Hr. or Trp./Trb. or Eup. )
- グレード: 3+
- 演奏時間: 5分30秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0508)
- 発売日: 2021/09/16
金管4重奏
金管四重奏曲第一番「天空への賛歌」|福田昌範
金管中低音のアンサンブルの為に2019年に作曲されました。
全体は、現代音楽風の和声と調性の組み合わせでできており、現代音楽風の和声のファンファーレで始まり、その後に続く調性音楽のフレーズでユーフォニアムが美しい「賛歌」を奏でます。その後、現代音楽風の速いテンポの激しいフレーズを経て、最後にもう一度「賛歌」が演奏され、曲は壮大に幕を閉じます。
リアレンジされた5重奏版は2020年第1回日本ブラスバンド・アンサンブル・ナショナルチャンピオンシップ全国大会にて第3位を受賞しました。
- 作曲: 福田昌範
- 演奏形態: 金管4重奏(Trb. 1/Trb. 2/Eup./Tuba )
- 演奏時間: 5分0秒
- FME-0478(フォスターミュージック)
- 発売日: 2021/01/14
金管5重奏
三つの心象|追榮祥
諧謔、不安、焦燥、という3つの心の動きを表現した1曲。
具体的な場面は言及されていませんが、シーンを想像しながら演奏することでより立体的な表現ができるのではないでしょうか。
- 作曲: 追榮祥
- 演奏形態: 金管5重奏(Trp. 1/Trp. 2/Hr./Trb./Tuba )
- グレード: 4+
- 演奏時間: 7分0秒
- FME-0495(フォスターミュージック)
- 発売日: 2021/07/21
パラサイティック・ジョイ|清水大輔
2本のTrumpet 、Horn 、Trombone 、Tubaの5つの金管楽器がおしゃべりをしているような、とても楽しい曲です。「やぁ!元気だった?」のファンファーレに始まり、お互いに相づちを打ったり、笑ったり、一緒に歌ってみたり…。時ににぎやかに、時に穏やかに金管楽器が語り合います。
タイトルは、“演奏者がこの作品を演奏する事により楽しさが寄生し、聴いてくださる全ての人たちに『喜び』を感じていただけることを願って”、作曲者の清水大輔氏がつけたもの。喜びと幸せを感じる曲をどうぞ楽しんでみてください。
音源のCDは現在廃盤になっていますが、Naxos Music Libraryで配信されています。
- 作曲: 清水大輔
- 演奏形態: 金管5重奏(Trp. 1/Trp. 2/Hr./Trb./Tuba )
- グレード: 3+
- 演奏時間: 5分10秒
- FME-0008(フォスターミュージック)
- 収録:【廃盤】アンサンブル・ええとこどり 1:ロンドンの小景/ G. ラングフォード
- 発売日: 2008.10.10
金管8重奏
ビヨンド・ザ・シー|近藤悠介
2019年、静岡県沼津市立大岡中学校吹奏楽部の委嘱作。
駿河湾の広大な海をイメージし、急緩急の3部形式で取り組みやすく書きました。明るく爽やかな金管楽器らしい作品です。
- 作編曲: 近藤悠介
- 演奏形態: 金管8重奏(Trp. 1/Trp. 2/Hr. 1/Hr. 2/Trb. 1/Trb. 2/Eup./Tuba )
- グレード: 3
- 演奏時間: 4分40秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0566)
- 発売日: 2023/08/23
ファースト・キャロル|井澗昌樹
温かみのあるハーモニー、輝く音色がXmasを感じさせるオリジナル作品。誰にとっても初めての瞬間はキラキラしたもの、その一瞬を積み重ねて慈しむ、そんな風に演奏していただけたらと思います。
岐阜県立羽島高等学校吹奏楽部委嘱作品
- 作曲: 井澗昌樹
- 演奏形態: 金管8重奏(Trp. 1/Trp. 2/Hr. 1/Hr. 2/Trb. 1/Trb. 2/Eup./Tuba )
- グレード: 3+
- 演奏時間: 5分0秒
- FME-0412(フォスターミュージック)
- 発売日: 2019/02/06
金管クワイヤー
シネマティック・テューンズ|三浦秀秋(9重奏)
「架空の映画会社が作った架空の映画音楽のサウンドトラックをブラスアンサンブルに編曲した組曲作品」というコンセプトで書かれたこの組曲は、短い5楽章で構成され、オープニングのジングルから、エンドクレジットまで、作曲者である三浦さんの映画音楽への造詣の深さと遊び心に溢れています。
- I. Movie Studio’s Logo ムービースタジオ・ロゴ
- II. Dr. Smithee’s Adventure スミシー博士の大冒険
- III. Lime Night Serenade ライム・ナイト・セレナーデ
- IV. “Where’s the rabbit?” ウサギはどこへ行った?
- V. End Credits エンド・クレジット
- 作曲: 三浦秀秋
- 演奏形態: 金管9重奏(Trp. /Pic./Trp. 1/Trp. 2/Trp. 3/A.Hr. in Eb/Trb. 1/Trb. 2/Eup./Tuba )
- 演奏時間: 10分0秒
- FME-0469(フォスターミュージック)
- 発売日: 2020/10/15
2005年10月2日に行われた、さいたまファンファーレクラブの第10回演奏会のために書いたのが「サルムの光」。のちに2曲を追加して「ペガスス座三部作」となりました。さいたまファンファーレクラブの略号「SFC」を「S(ミ♭)→ F(ファ)→ C(ド)」という音列に置き換えて、そこから取り出した「長二度→完全五度」という音程進行が、全曲を通じた統一主題となっています。
SFCのシンボルであるペガサスはギリシア神話に登場する翼を持つ天馬。メデューサの血から生まれてペルセウスの愛馬となったペガサスは、芸術の女神ミューズたちに可愛がられていたと言われています。曲にはそれぞれ、ペガスス座にある恒星の名前が付けられ、その星から着想を得て作曲されています。
「ペガスス三部作」第1曲:ブラス・アンサンブルのためのフラリッシュ《サルムの光》|中橋愛生
「サルム」はτ(タウ)星。星言葉は「高い理想に進むペガスス」(3月10日)。「フラリッシュ」(フローリッシュとも)はファンファーレの中でも特に華やかなものを指す言葉。輝かしい未来へ向けてのファンファーレ。
- 作曲: 中橋愛生
- 演奏形態: 金管10重奏(Trp. 1/Trp. 2/Trp. 3/Flgh./A.Hr. in Eb/Trb. 1/Trb. 2/Trb. 3/Eup./Tuba )
- 演奏時間: 1分30秒
- FME-0470(フォスターミュージック)
- 発売日: 2020/10/15
「ペガスス三部作」第2曲:ブラス・アンサンブルのためのコラール《マタルの涙》|中橋愛生
「マタル」はη(イータ)星。星言葉は「恋にのめり込む集中力」(2月29日)。「雨の守り神」の意味を持つ「マタル」は、幸運をもたらす雨を降らせるといいます。「コラール」は本来はプロテスタントの賛美歌である四声の合唱曲ですが、ここでは慈愛を讃える歌という程度の意味で用いています。
- 作曲: 中橋愛生
- 演奏形態: 金管10重奏(Trp. 1/Trp. 2/Trp. 3/Flgh./A.Hr. in Eb/Trb. 1/Trb. 2/Trb. 3/Eup./Tuba )
- 演奏時間: 3分0秒
- FME-0471(フォスターミュージック)
- 発売日: 2020/10/15
「ペガスス三部作」第3曲:ブラス・アンサンブルのためのトッカータ《マルカブの矢》|中橋愛生
「マルカブ」はα(アルファ)星。星言葉は「直感と計画性のサクセス」(3月6日)。「乗り物(馬の鞍)」という意味を持つこの星は「秋の大四辺形」を形成する星の1つとしても知られています。7月に観測される「ペガスス座流星群」の放射点がマルカブのすぐ近くであるのは、稲妻の運搬役でもあったペガサスらしい不思議な一致です。そんなマルカブを題材としたこの曲は、疾走感あるトッカータ(走句が多用される楽曲)となっています。
- 作曲: 中橋愛生
- 演奏形態: 金管10重奏(Trp. 1/Trp. 2/Trp. 3/Flgh./A.Hr. in Eb/Trb. 1/Trb. 2/Trb. 3/Eup./Tuba )
- 演奏時間: 3分0秒
- FME-0472(フォスターミュージック)
- 発売日: 2020/10/15
アンサンブルで金管楽器の表現の幅を広げよう
吹奏楽の中では「元気」「華やか」だったり、力強い演奏にはかかせない、花形の金管楽器。
しかしアンサンブルでは、物静かなメロディーや柔らかな音も必要となってきます。普段なかなか演奏しない表現が、奏者としての力をぐっと上げてくれることでしょう。
金管楽器同士だからこそできる音の重なりを感じつつ、新しい表現にチャレンジしてみてください。
吹奏楽を柱とした音楽出版社として2008年に設立いたしました。 「フォスター」という単語には、育てる・育成するといった意味があり、日本の吹奏楽をもっと元気に楽しく発展させていきたいという思いをこめています。みなさまのブラバンコンシェルジュとして、様々な情報を発信していきます。