“トロンボーンがその真価を発揮するのはアンサンブル”といわれるほど、トロンボーンの響きは重なり合うことで真の魅力を放ちます。やわらかく豊かなハーモニーは、ルネサンスやバロック音楽から現代オーケストラ、ジャズ、吹奏楽に至るまで、時代やスタイルを超えて人々を魅了してきました。
本特集では、その多彩な表現力を存分に楽しめるアンサンブル作品を厳選。コンテストで人気を博す定番曲から、名旋律を新しい響きで味わえるアレンジ、日本の唱歌や民謡を題材にした親しみやすい作品まで、幅広くご紹介します。
重厚でありながら透明感のあるサウンドに出会い、トロンボーンの新たな一面を見つけていただければ幸いです。
トロンボーン三重奏
スターライト・ハイウェイ|成田勤
トロンボーンといえば、スライド奏法。その「スライド奏法」をコンセプトに置いて作曲されました。
スライド奏法での細かな音の動きが多いため、楽譜にはたくさんの音符が並び、それはさながら、星座を形作る満天の星のよう…。作曲者の成田氏は、そこから「スターライト」という題名を思いついたようです。
星空の中を気持ちよくドライブするような旋律をもち、トロンボーンで演奏される音を最大限に活用し、スピード感のあるさわやかなメロディーを紡ぎ出します。
アンサンブルコンテストで不動の人気を誇るロングセラー。
- 作編曲: 成田勤
- 演奏形態: トロンボーン3重奏(Trb. 1/Trb. 2/Trb. 3 )
- グレード: 4
- 演奏時間: 5分0秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0199)
- 発売日: 2012/09/20
スイーツ・スイート(3重奏版・4重奏版)|田中裕香
ケーキをテーマにした、なんとも美味しそうなトロンボーン三重奏。チーズケーキの素朴で一途な味わい、フルーツタルトのきらびやかな賑わい、チョコレートケーキの濃厚で大人びた甘さ…。3つの小品は、それぞれに異なる表情を持ちながら、生活の中の「特別なひととき」を彩ってくれます。
日常に寄り添うスイーツのように、この作品は演奏者にも聴衆にも心地よいご褒美の時間を与えてくれるでしょう。変拍子や転調をあえて控えたシンプルさ、リズムの遊び心、深い響きの奥行きなど、作曲者の繊細な感性が生きています。
四重奏版も好評発売中です!
- 作編曲: 田中裕香
- 演奏形態: トロンボーン3重奏/4重奏(3Trb. /4Trb. )
- グレード: 4+
- 演奏時間: 6分40秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0616)
- 発売日: 2024/07/18
トロンボーン四重奏
「待ちぼうけ」の主題による変奏曲:山田耕筰 arr. 佐川馨
北原白秋と山田耕筰による童謡《待ちぼうけ》。誰もが思わず口ずさみたくなるユーモラスな旋律を、三浦真理氏の合唱編曲から発展させ、トロンボーン四重奏へと再構成した作品です。
印象的な前奏・後奏は、作曲当時に山田耕筰が大連で耳にしたチャルメラの節に由来するとも言われ、日本人にはどこか懐かしい響き。旋律自体は短いながらも、繰り返しの中で鮮やかな転調を重ねていく職人技が光ります。
童謡の素朴さと、トロンボーンならではの重厚な響きが合わさることで、親しみやすさと演奏映えを両立。コンサートのプログラムにぴったりの一曲です。
- 作編曲: 山田耕筰 arr. 佐川馨
- 演奏形態: トロンボーン4重奏(Trb. 1/Trb. 2/Trb. 3/Bs.Trb. )
- グレード: 2+
- 演奏時間: 2分20秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0531)
- 発売日: 2022/12/14
「われは海の子」の主題による変奏曲:文部省唱歌 arr. 佐川馨
明治期に誕生し、日本人に長く歌い継がれてきた文部省唱歌《われは海の子》。力強く雄大な旋律は、まさに日本の海の景色を想起させる代表的な唱歌です。
三浦真理氏の合唱編曲をベースに、佐川馨氏がトロンボーン四重奏として再構成。冒頭のユニゾンからはじまり、やがてルネサンス合唱を思わせる緻密な対位法的展開へ。重厚でありながらも温かいハーモニーが、トロンボーンならではの響きとして新たな魅力を放ちます。
音域も無理なく書かれているため、中高生から一般団体まで幅広く取り組めるのもポイント。コンサートのオープニングやアンコールにいかがでしょうか?
- 作編曲: 文部省唱歌 arr. 佐川馨
- 演奏形態: トロンボーン4重奏(Trb. 1/Trb. 2/Trb. 3/Bs.Trb. )
- グレード: 2+
- 演奏時間: 2分45秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0530)
- 発売日: 2022/12/14
ピリカ・ピリカ:日本民謡・伝承曲 arr. 佐川馨
北海道の先住民族・アイヌのわらべうたに由来する《ピリカ・ピリカ》。「ピリカ」は「よい」「美しい」「豊か」といった意味を持ち、素朴で温かみのある言葉が歌全体を包み込んでいます。
三浦真理氏の合唱編曲をベースに、佐川馨氏がトロンボーン四重奏として再構成。愁いを帯びた旋律がユニゾンで静かに始まり、やがてオスティナートに支えられながら厚みを増していく展開は、シンプルな民謡が壮大な響きへと昇華していく瞬間を体験できます。
トロンボーン特有の柔らかさと重厚さが相まって、民謡の素朴さとオーケストラ的なスケール感を同時に味わえる作品。コンサートの中で異彩を放つ一曲として取り入れてみてはいかがでしょうか。
- 作編曲: 日本民謡・伝承曲 arr. 佐川馨
- 演奏形態: トロンボーン4重奏(Trb. 1/Trb. 2/Trb. 3/Bs.Trb. )
- グレード: 2+
- 演奏時間: 3分30秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0529)
- 発売日: 2022/12/14
ノスタルジック・メモリー〜日本民謡によるパラフレーズ〜:日本民謡・伝承曲 arr. 佐川馨
三浦真理氏の『歌いつぐ日本のうた[ふるさとを歌う]』(2003、教育芸術社)に収録された合唱曲《記憶のパストラル》をトロンボーン四重奏として再構成しました。
編曲にあたった佐川馨氏は、合唱曲として優れていることはもちろんのこと、管楽器のアンサンブルになってもその魅力が失われることはなく、多くの人々に知ってもらいたい、聴いてもらいたいと考えたことが《ノスタルジック・メモリー》の誕生へと繋がった。と語っています。
和と洋、それぞれの背景にある嗜好性や文化の違いを少しも感じさせることのない、三浦氏の手による日本の歌と西洋音楽の融合による新たな音の世界を、トロンボーンでお楽しみください。
- 作編曲: 日本民謡・伝承曲 arr. 佐川馨
- 演奏形態: トロンボーン4重奏(Trb. 1/Trb. 2/Trb. 3/Bs.Trb.)
- グレード: 3+
- 演奏時間: 7分30秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0528)
- 発売日: 2022/11/17
滝廉太郎の3つの歌 (花〜荒城の月〜箱根八里):滝廉太郎 arr. 井澗昌樹
わずか23歳でこの世を去った滝廉太郎。西洋音楽黎明期に日本人の心をとらえた彼の旋律は、時を超えて今日も私たちに語りかけてきます。本作は「花」「荒城の月」「箱根八里」という名曲をメドレー形式でまとめあげた編曲。
柔らかな情緒と清らかさを湛える《花》、幽玄な響きに包まれる《荒城の月》、そして力強い行進を思わせる《箱根八里》。三曲が流れるように繋がり、トロンボーンならではの深みある響きが新たな感動を生み出します。
アンサンブルコンテストにも、コンサートのステージピースにも映える重厚な一作です。
- 作編曲: 滝(瀧)廉太郎 arr. 井澗昌樹
- 演奏形態: トロンボーン4重奏(Trb. 1/Trb. 2/Trb. 3/Bs.Trb. )
- グレード: 3+
- 演奏時間: 5分0秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0192)
- 発売日: 2012/08/22
桜三章(さくらさくら、絵日傘、花かげ): arr. 井澗昌樹
日本の春を象徴する「桜」をテーマにした三曲をトロンボーン四重奏で。
古謡として広く親しまれる《さくらさくら》、桜吹雪の情景を詠った《絵日傘》、そして作詞者の思い出が重なる《花かげ》。それぞれ異なる表情を持ちながら、いずれも桜と人との結びつきを映し出しています。
井澗昌樹氏による編曲は、旋律の美しさを大切にしながら、厚みのあるハーモニーでトロンボーンならではの表現を引き出すもの。儚さと華やかさを併せ持つサウンドは、日本人の心に響く「春の情景」をステージに描き出すでしょう。
コンサートのシーズン企画にはもちろん、アンサンブルコンテストでも注目を集める一曲です。
- 作編曲: arr. 井澗昌樹
- 演奏形態: トロンボーン4重奏(Trb. 1/Trb. 2/Trb. 3/Bs.Trb. )
- グレード: 4
- 演奏時間: 6分40秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0191)
- 発売日: 2012/08/22
彼方の光〜トロンボーン4重奏とオルガンのための:村松崇継 arr. 小宮山碧
英国の少年合唱団〈リベラ〉のために作曲され、NHKドラマ「氷壁」の主題歌や数々のCMで知られる村松崇継の代表作《彼方の光》。澄み渡る旋律は“天使の歌声”として世界中で愛されてきました。
本編曲は2013年、明治学院大学150周年記念チャリティーコンサートのために制作されたもの。原曲の透明感を保ちながら、トロンボーン四重奏とオルガン(またはピアノ)による重厚な響きが新たな魅力を加えています。
トロンボーンの温かな音色が旋律を支え、オルガンの荘厳な響きと溶け合うことで、祈りにも似た清澄な音楽世界を描き出します。コンサートや記念演奏、アンセム的なプログラムにふさわしい一曲です。
- 作編曲: 村松崇継 arr. 小宮山碧
- 演奏形態: トロンボーン4重奏(Trb. 1/Trb. 2/Trb. 3/Bs.Trb./Organ )
- グレード: 3+
- 演奏時間: 4分0秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0386)
- 発売日: 2018/04/27
「白鳥の湖」によるパラフレーズ:チャイコフスキー arr. 井澗昌樹
クラシック音楽史を彩る名旋律の数々。その中でもチャイコフスキーの《白鳥の湖》は、誰もが口ずさめるオーボエの旋律をはじめ、叙情性と躍動感に満ちた音楽の宝庫です。
本作は《白鳥の湖》を中心に、チャイコフスキー作品のエッセンスを織り交ぜたパラフレーズ。さらに一か所だけ他作曲家の旋律も引用され、音楽史をめぐる遊び心が光ります。
吹奏楽版も人気の高い井澗昌樹氏の編曲により、トロンボーン四重奏は華やかな歌心と厚みのある響きを同時に実現。叙情的に、あるいは生き生きと演奏することで、トロンボーンが紡ぐ“白鳥の湖”が鮮やかに浮かび上がります。
コンサートでの聴き映えはもちろん、アンサンブルコンテストの自由曲としても魅力的な一曲です。
- 作編曲: ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー arr. 井澗昌樹
- 演奏形態: トロンボーン4重奏(Trb. 1/Trb. 2/Trb. 3/Bs.Trb. )
- グレード: 5
- 演奏時間: 8分30秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0190)
- 発売日: 2012/08/22
トロンボーン五重奏
Aria – モシュコフスキへのオマージュ:野呂望
19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したポーランドの作曲家モーリツ・モシュコフスキ。華やかなピアニズムと洗練された旋律美で知られ、とりわけ《ピアノ協奏曲 ホ長調 作品59》は彼の魅力を凝縮した代表作です。
この作品は、その協奏曲への敬意を込めて作られたトロンボーン五重奏の小品。管楽器では珍しいホ長調で書かれ、透明感ある響きと静かな歌心が際立ちます。短いながらも、トロンボーンならではの柔らかい音色で紡ぐ旋律が深い余韻を残す一曲です。
2018年、昭和トロンボーンアンサンブル第30回定期演奏会にて初演。レパートリーに加えれば、コンサートの中で一際気品ある瞬間を演出できるでしょう。
- 作編曲: 野呂望
- 演奏形態: トロンボーン5重奏(Trb. 1/Trb. 2/Trb. 3/Trb. 4/Bs.Trb. )
- 演奏時間: 5分0秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0474)
- 発売日: 2021/01/14
トロンボーン八重奏
木星〜快楽をもたらすもの(組曲「惑星」より):ホルスト arr. 井澗昌樹
ホルストの代表作《惑星》から、最も親しまれている第4曲《木星》。その壮大で高揚感あふれる旋律を、トロンボーン八重奏に編み直した作品です。
京都市立芸術大学トロンボーン専攻生 “THE BONES” の委嘱で誕生し、初演時は九重奏で演奏されたものを出版に際して八重奏に改訂。原曲に忠実でありながら、編成の特性を活かした響きに仕上がっています。
特に有名な第4主題は、トロンボーンの豊潤なハーモニーによって堂々と歌い上げられ、聴衆の心を揺さぶる圧巻のクライマックスを生み出します。原曲が持つ「平和への祈り」のメッセージは、今もなお力強く響き、アンサンブルの舞台を荘厳に彩るでしょう。
コンサートのハイライトや記念演奏にふさわしい、まさに“トロンボーンのための木星”です。
- 作編曲: グスターヴ・ホルスト arr. 井澗昌樹
- 演奏形態: トロンボーン8重奏(Trb. 1/Trb. 2/Trb. 3/Trb. 4/Trb. 5/Trb. 6/Bs.Trb. 1/Bs.Trb. 2)
- グレード: 5
- 演奏時間: 8分0秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0643)
- 発売日: 2025/05/22
髙嶋圭子トロンボーンアンサンブル作品



吹奏楽を柱とした音楽出版社として2008年に設立いたしました。 「フォスター」という単語には、育てる・育成するといった意味があり、日本の吹奏楽をもっと元気に楽しく発展させていきたいという思いをこめています。みなさまのブラバンコンシェルジュとして、様々な情報を発信していきます。