酒井格氏の「ソナチネ第二番~サクソフォン4重奏のための」は滝上典彦氏がリーダーをつとめる「クァルテット颯」の委嘱により、2018年3月に作曲され、高山市でレコーディングが行われたのち、2018年7月にクロアチアで開催されたワールドサクソフォンコングレスでのコンサートで世界初演されました。その約1年後の2019年6月のCD発売に合わせ名古屋市のHITOMIホールで日本初演されました。
クァルテット颯(Quartet HAYATE)
- NYCC-13007
- Vesper Records
現代を生きる邦人作曲家たちとの作品集
新進気鋭の田村修平、酒井格の委嘱作品から、倉知竜也、伊藤康英の若き日の情熱的な作品を収録。
クラシックサクソフォーンの黎明期、世界を席巻したフレンチサウンド。その伝統的なサウンドを源流とした輝かしい響きを奏でるクァルテット颯の意欲作。
円熟期にある作曲家、伊藤康英と倉知竜也の若き日の情熱的な四重奏曲を収録。30年の時を超え再プロデュースされ、新たな威光を放つ。 新進気鋭の若き鬼才田村修平の委嘱作品は、独特の世界観で内面を投影する。吹奏楽界で絶大な人気を誇る酒井格の委嘱作品は、チャーミングで愛しい。現代(いま)まさに輝く珠玉の邦人作品集。
メーカーページより
「ソナチネ第二番〜サクソフォン4重奏のための」のテーマ
ヒントはラヴェルのソナチネ
颯のリーダーである滝上氏と酒井氏とは、20年以上のお付き合いだそうですが、意外にも新作を初演していただくのは今回が初めてだとのこと。さらに意外なことに酒井氏にとってはじめてのサクソフォン四重奏のための作品ということで、この作品について、酒井氏はこの作品についてこのように語っています。
ソナタ形式による中庸なテンポの第一楽章、同じくソナタ形式(但し展開部を持たない)によるゆったりしたテンポの第二楽章、ロンド・ソナタ形式による快活なテンポの第三楽章という、古典派の伝統的なスタイルで書いたものです。
ロマン派、近代と時代が進むに連れ、音楽のスタイルも変わっていきますが、新しい感覚で、この古典的なスタイルで書かれたモーリス・ラヴェルのソナチネという作品があります。私自身、この作品が大変好きで、今回の創作でもヒントにしたことも多かったので「ソナチネ」と名付けました。余談ですが、ヴァイオリンとチェロのデュエットでも「ソナチネ」という作品をすでに書いているので、この作品は「第二番」としました。
4種類のサクソフォンは、同族楽器でありながら、それぞれの楽器が個性的でもあるように思います。この作品では、それぞれの楽器の魅力を活かすことと、同族楽器ならではの一体的な響きを活かすことを意識しました。
楽曲の特徴
伝統的なフレンチサウンド
配信が開始されてすぐにダウンロード購入をして聞いたとき、サクソフォン四重奏の古典作品を彷彿とさせるこの曲が、酒井先生の作品だということがにわかに信じられなかったほど。紹介文の文面通りの伝統的なフレンチサウンドに驚かされました。
しかしながら、聞けば聞くほど酒井先生ならではのチャーミングさに溢れていて、何度でも聞いていたいような魅力溢れる一曲です。ぜひみなさんも颯さんのようなフレンチサウンドを目指して演奏してみてください。
演奏時間・グレード
3楽章を通すと約11分30秒。各楽章ごとの演奏時間は、第一楽章アレグロが約4分、第二楽章アダージョが約4分、第三楽章ヴィヴァーチェが約3分程度となっています。単一楽章だけを抜粋して演奏すれば、アンサンブルコンテストにも最適です。
グレードは4+としていますが、フラジオ音域や特殊奏法は用いられていませんので、スケールやタンギングなど基礎的な技術を磨いて取り組んでいただければと思います。
作曲者|酒井格
楽譜情報|ソナチネ第二番~サクソフォン4重奏のための

- 作編曲: 酒井格
- 演奏形態: サクソフォン(S.sax./A.sax./T.sax./B.sax. )
- グレード: 4+
- 演奏時間: 11分30秒
- 第一楽章:約4分
- 第二楽章:約4分
- 第三楽章:約3分
- 出版: フォスターミュージック(FME-0422)
- 発売日: 2019/07/11
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