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J’z Craze(ジェイズ・クレイズ): 異色トリオの魅力を金管アンサンブルで

J’z Crazeは1997年に結成されたトリオ編成のユニットです。トランペット奏者・佛坂咲千生(ほとけざか さちお)を中心に、ジャズギタリストの安部一城(あべ かつき)、ジャズベーシストの浅井雄作(あさい ゆうさく)の3名でスタートしました。2019年にベースの浅井氏が逝去、現在は桐沢輝(きりさわあきら)氏をメンバーに迎え、新生J’z Crazeとして活動しています。

クラシックとジャズという異なるジャンル出身の3人による異色の組み合わせで生み出されるハーモニーは、新鮮であたたかく『初めて聴いても懐かしい』音楽を念頭に活動の場を拡げています。

ジャンルを超えた美しいトランペットの旋律に、ギターが奏でる柔らかなハーモニー、優しく包み込むベースが加わった、三者で織りなす音楽は独特の心地よさがあり、そのレパートリーはスタンダードなジャズやクラシックのアレンジ、オリジナル曲まで幅広く、世代を超えて親しまれるサウンドとなっています。

アルバムもリリースしており、1stアルバム「Ferris Wheel」、2ndアルバム「Moonfish」、3rdアルバム「One」といった作品を発表しています。3rdアルバムはApple Musicでも配信されているので、ぜひプレイリストに加えてくださいね。

目次

J’z Craze(ジェイズ・クレイズ)

佛坂 咲千生(トランペット)

1956年生まれ。佐賀県出身。武蔵野音楽大学器楽科を卒業後、東京佼成ウインドオーケストラに在籍し、1979年に日本フィルハーモニー交響楽団に入団、その後1989年にNHK交響楽団(N響)のトランペット奏者となりました。オーケストラのみならずソロや室内楽でも活躍し、カスタム・ブラス・クインテットザ・トランペットコンサート佐賀ブラス・クインテットなどのメンバーとしても活動。2016年にNHK交響楽団を定年退職した後は、洗足学園音楽大学や武蔵野音楽大学で教授として後進の指導にあたっています。クラシック界で培った確かな技術と音楽性を背景に、J’z Crazeではジャンルを超えた柔軟な表現でバンドの中心的役割を担っています。

安部 一城(ギター)

1967年6月27日生まれ。東京出身。12歳でギターを始め、津村英明氏に師事。学生時代からSBバンドエウダイモニア東京ダイナマイツといったバンドに参加し、多彩なアーティストのライブやレコーディングなど幅広く活動しています。ライブハウスやスタジオワークで活躍する一方で、楽曲提供やアレンジなど音楽制作の分野でも評価も高く、J’z Crazeでも数々の作編曲作品を発表しています。ナイロン弦の暖かな音色でボサノバやラテンの要素を取り入れるなど、独自のサウンドメイクでバンドに彩りを添えています。

故・浅井雄作(ベース)

1988年東京コンセルヴァトアール尚美作曲家卒業。 在学中より横浜のジャズクラブでプロ活動を開始し、作曲・編曲でも活躍。1997年にJ’z Crazeを結成し、温かく包み込むようなベースの音色でグループを支えましたが、2019年11月、惜しくも永眠。浅井氏が遺した楽曲「ラスト・レター」は、愛する人への最後の手紙をテーマに“きっとその言葉は『ありがとう』だろう”という想いを込めて作曲された作品で、彼の人柄と音楽観が表れた優しいバラードです。この曲を含め、浅井氏の演奏や作品は今も多くの音楽ファンや後進の奏者に影響を与え続けています。

桐沢 輝(ベース)

浅井雄作氏の後任としてJ’z Crazeのベーシストとして加入。ジャズやポップス分野で活動してきたエレキベース/ウッドベース奏者であり、安定したリズム感と柔軟な表現力で、佛坂のクラシック的なトランペットと安部のギターの橋渡し役となり、ジャンルミックスなJ’z Crazeサウンドを下支えしています。

下野恵美子によるJ’z Craze編曲作品

金管10重奏スタイルを基本に、トランペットとトロンボーンをそれぞれ1本減らしての8重奏のスタイルでも演奏可能にアレンジしました。新しくて懐かしい、J’zサウンドを金管アンサンブルでお楽しみください。

編成は基本的にトランペット4(内1人はフリューゲルホルン)、ホルン1、トロンボーン4(内1人はバストロンボーン)、チューバ1の計10名ですが、前述のとおりトランペット3番、バストロンボーンのパートをはずすことで8重奏でもでも演奏できるようになっており、アンサンブルコンテスト自由曲としても取り組めるよう配慮されています。

ジャズやポップスの要素を取り入れた洒落たサウンドはひときわ耳目を集めるでしょう。

HOP|安部一城 arr. 下野恵美子

「初めて聴いても懐かしい」というキャッチフレーズにピッタリの、ミディアム・バラード。ちょっと元気がないようなときに、優しく寄り添ってくれるような,温かいナンバーです。

  • 演奏形態: 金管10重奏
  • グレード: 3
  • 演奏時間: 4分30秒
  • 出版: フォスターミュージック(FME-0385)
  • 発売日: 2018/02/01

ラスト・レター|浅井雄作 arr. 下野恵美子

ゆったりしたイントロ、美しいメロディが印象的なバラード。愛する人を思いながら演奏してください。

  • 演奏形態: 金管10重奏(金管8重奏)
  • グレード: 3
  • 演奏時間: 4分10秒
  • 出版: フォスターミュージック(FME-0335)
  • 発売日: 2015/11/05

ONE|安部一城 arr. 下野恵美子

グループのアルバムタイトル曲。3分半程度の小粋な曲で、グレード4+と少し難易度高め。技巧的なパッセージも含まれ、アンサンブルの妙が味わえます。

  • 演奏形態: 金管10重奏(金管8重奏)
  • グレード: 4+
  • 演奏時間: 3分30秒
  • 出版: フォスターミュージック(FME-0334)
  • 発売日: 2015/11/05

ウィグリー・ピース|安部一城 arr. 下野恵美子

アンニュイな揺れ感のある6/8拍子のリズムが特徴の1曲。葛藤を経て、決意へと誘われる様を表現しました。

  • 演奏形態: 金管10重奏(金管8重奏)
  • グレード: 4
  • 演奏時間: 3分30秒
  • 出版: フォスターミュージック(FME-0333)
  • 発売日: 2015/11/05

ペルセウス|安部一城 arr. 下野恵美子

星が流れて降ってくるようなイメージの、ドラマチックな展開が魅力。星の輝きに寄せて来た人々の思いを綴った楽曲です。

  • 演奏形態: 金管10重奏(金管8重奏)
  • グレード: 4
  • 演奏時間: 3分50秒
  • 出版: フォスターミュージック(FME-0332)
  • 発売日: 2015/11/05

ムーン・フィッシュ|安部一城 arr. 下野恵美子

ゆらゆらと海を漂う魚のような、浮遊感のある作品。海の浮力にただ流れに身を任せ、ふぁーっと浮かんだ気持ちになってもらいたいとの思いが込められています。

  • 演奏形態: 金管10重奏(金管8重奏)
  • グレード: 3+
  • 演奏時間: 4分0秒
  • 出版: フォスターミュージック(FME-0331)
  • 発売日: 2015/11/05

NOBO(ノボ)|安部一城 arr. 下野恵美子

チャップリンの名言、「ネクスト ワン イズ ビッグ ワン(Next One is Big One)」の頭文字からタイトルがつけられました。技巧的なアンサンブルが要求されますが、ズパパズパパズパズパズパ…と前のめりに果敢に挑戦して!

  • 演奏形態: 金管10重奏(金管8重奏)
  • グレード: 5
  • 演奏時間: 4分30秒
  • 出版: フォスターミュージック(FME-0330)
  • 発売日: 2015/11/05

てふてふ|安部一城 arr. 下野恵美子

美しく舞う蝶を思わせる可憐な1曲。ソロパフォーマンスの多い曲なので、余裕があればアドリブにも挑戦してみてください。

  • 演奏形態: 金管10重奏(金管8重奏)
  • グレード: 3+
  • 演奏時間: 3分20秒
  • 出版: フォスターミュージック(FME-0329)
  • 発売日: 2015/11/05

まとめ:J’z Craze作品の魅力

クラシック的な正確さ・音色の美しさと、ジャズ/ポップス的なスウィング感・グルーヴの両方を体験できるJ’z Crazeの作品は、金管楽器奏者、とりわけ学生や若手プロにとって学び甲斐のある刺激的な教材と言えるでしょう。曲想もバラードからアップテンポまで幅広く、しっとり歌い上げる表現力と、ノリ良く演奏するメリハリ感の両面が鍛えられます。アドリブまではしなくとも、フレーズのニュアンスを自分なりに変化させてみるだけでも、譜面に書かれた以上の表現を引き出す訓練になります。(アドリブにもぜひトライしてみてください!)

「カッコいい!」と感じられるレパートリーに出会うことは何よりの刺激。お洒落さ・楽しさを味わいながら「こんな表情もある」「こんなことも表現できる」と、技術的にも音楽的にも成長の糧となり、演奏スタイルを広げるヒントを掴むことができるはずです。大いに創意工夫して、独自のサウンドを作り上げてくださいね。

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