1980年、神奈川県生まれ。16歳頃から独学で作曲を始め、昭和音楽大学短期大学部作曲科に進学。作曲家・藤原嘉文氏に師事し、作曲技法を学びました。
2002年に同学を卒業後、本格的な創作活動を開始、吹奏楽を中心に作曲活動を展開し、航空自衛隊中部航空音楽隊や陸上自衛隊東部方面音楽隊、海上自衛隊横須賀音楽隊、ヤマハ吹奏楽団浜松、なにわ《オーケストラル》ウィンズ、大阪市音楽団(現:Osaka Shion Wind Orchestra)、シエナ・ウインドオーケストラといった国内のプロ吹奏楽団体から、スクールバンドまで、多岐にわたります。また、サクソフォーン奏者の福本信太郎氏のために書いた作品を皮切りに、室内楽やソロのための作品提供も数多く行っています。
現在は、母校の昭和音楽大学で非常勤講師を務めて後進の指導にもあたっています。
清水大輔氏の作品は日本国内だけでなく海外でも高く評価され、2021年には「Immortal Anthem」がABAオストウォルド賞、2023年には「The Skyscrapers(空を削るもの)」が第4回WASBE国際作曲コンテスト カテゴリー2部門で、いずれもの最終選考に選出されるなど、その知名度は国際的に高まりつつあります。近年ではアジア諸国に招かれ、自作の指揮や初演を行う機会も増えています。
清水作品は抜けるような空の青や、キラキラした海の輝きを感じさせる作品が多く、すべての作品に夢を追いかける人の背中を後押しするような力強さがあります。敬愛してやまないジョン・ウィリアムズを彷彿とさせるハリウッドの映画音楽のような輝かしい響きと厳かさを併せ持つ清水作品の魅力をご紹介します。
清水大輔 最新刊
スーン~サクソフォン・クヮルテットのために|清水大輔
「開演」「休憩」「終演」という3つの楽章からなる組曲で、コンサートの流れそのものを音楽で描いたユニークな構成です。
第3楽章は弦楽四重奏+クラリネット・ピアノのための作品を大幅に改訂したもので、サクソフォンならではの表現が活きる内容となっています。
長らく絶版となっていましたが、ついにフォスターミュージックより再版が決定!
- 作編曲: 清水大輔
- 演奏形態: サクソフォン4重奏(S.sax./A.sax./T.sax./B.sax. )
- グレード: 4
- 演奏時間: 7分45秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0630)
- 発売日: 2025/06/19
吹奏楽人気作品
シー・オブ・ウィズダム~知恵を持つ海[吹奏楽大編成・小編成]
2007年和歌山県岩出第二中学校の委嘱作品。「海」を題材にしてほしいとの要望から、実際に和歌山の海を実際に見て特に印象に残った《白浜海岸》と《三段壁(さんだんべき)》をイメージし、さらに清水氏の思い描く海の情景を織り交ぜて書かれた作品で、冒頭のクラリネットのマウスピースを使ったカモメの鳴き声も印象的な1曲です。美しく壮大な和歌山の海の風景を感じて演奏してください。
フォスターミュージックの創業年である2008年の出版で、今でも1番人気のロングセラー作。
15分の名声~アンディ・ウォーホルのための音楽[吹奏楽大編成]
2012年松戸市立松戸第四中学校委嘱作品。
ポップアートの旗手であるアンディ・ウォーホル(1928 – 1987)が語った『未来には、誰でも15分間は世界的な有名人になれるだろう。』という言葉の神秘性、そして全日本吹奏楽コンクールの規定(入り捌け含め15分)に引っ掛けて名付けられました。
曲はポップ、ロック、ジャズなどをふんだんに盛り込んだ急緩急の構成。フリーテンポによって始まり不協和音が段々と盛り上がり、そのパワーが一気に爆発しティンパニの強烈なモチーフにより音楽は進み始めます。
アンディ・ウォーホルのヴィヴィットな色彩の世界を音楽で楽しんで。
ジャスパー~夢へのナビゲーター![吹奏楽大編成]
夢を叶えるために必要な勇気、希望を与えてくれるという天然石、ジャスパー。この作品も、そんな力を演奏者、聴衆に与えられる曲になってくれたら、との願いが込められています。曲はシンプルな3部形式(A-B-A)で書かれており、テーマは70年代後半から80年代あたりの映画音楽をイメージした、全体的に華やかな構成になっています。
初演の「ニュー・ウィンド・レパートリー2010」と「コンクール自由曲ベストアルバム12」ではまたは違った雰囲気となっています。2つの演奏の違いも楽しみながらお聞きください。
- 作編曲: 清水大輔
- 演奏形態: 吹奏楽大編成(36パート)
- グレード: 4
- 演奏時間: 7分54秒
- 出版: フォスターミュージック(FMP-0072)
- 発売日: 2019/05/31
セレブレイト[吹奏楽中編成]
祝祭の高揚感を鮮やかに描いた吹奏楽作品です。2002年に「自由演奏会」で初演され、以来、全国のバンドで愛されています。急・緩・急の三部構成で、華やかな冒頭のファンファーレ、穏やかな中間部のフルートソロ、そして再び勢いよく締めくくる終結部と、展開の妙が光ります。全パートに見せ場があり、演奏効果は抜群。演奏会や式典のオープニングにぴったりの一曲です。
- 作編曲: 清水大輔
- 演奏形態: 吹奏楽中編成(31パート)
- 演奏時間: 6分55秒
- 出版: Beriato Music(BMP8051408 )
- 発売日: 2008
はじまりの場所 [吹奏楽小編成]
2018年海上自衛隊佐世保地方隊創設65周年記念作品として委嘱され、同年4月に海上自衛隊佐世保音楽隊によって初演。これから始まる演奏会に寄せる期待、想像を演出できるような作品を目指して作曲しました。繰り返されるドラムマーチで奏者の入場を演出し、指揮者の合図とともに煌びやかなファンファーレではじまります。
ユージーン M.コーポロン(ノーステキサス大学教授)氏からも「コンサートのオープナーとして完璧な作品」とも評され、祝典、祭典や演奏会のオープニングを飾る楽曲として特にオススメの1曲です。
室内楽・アンサンブル作品
アイム・ソー・ハッピー![サクソフォン4重奏]
清水氏の大学の先輩にあたるサクソフォン奏者の河西麻希さんからの委嘱で、ハッピーマッキー☆SAXカルテット10周年記念のために書き下ろされた作品です。
とにかく幸せで楽しい気持ちになれるような曲を目指したというこの曲。冒頭で登場するシンプルな旋律を軸に曲はいろいろな表情を見せながら進みます。それはまるでおもちゃ箱をひっくり返したように。
「ハッピー」とはいえ、サックス奏者にとっては複雑なリズムが絡み合うなかなか手強い作品なのですが、攻略したときの快感は格別ではないかと思います。ぜひチャレンジしてみてください。

- 作編曲: 清水大輔
- 演奏形態: サクソフォン4重奏(S.sax./A.sax./T.sax./B.sax. )
- 演奏時間: 5分40秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0459)
- 発売日: 2020/08/21
笑顔は、、、音楽を奏でる(ピアノリダクション版)[A.Saxソロ&ピアノ]
2020年に海上自衛隊呉音楽隊の委嘱により書かれた、独奏サクソフォンと吹奏楽による約7分半の作品です。定年を迎える同音楽隊のコンサートマスター・宮越総己氏への敬意と感謝を込めて作曲され、音楽的にも人間的にも深いつながりを感じさせるあたたかな作品となっています。
作曲のきっかけとなったのは、2つの「笑顔」にまつわる言葉。ひとつはトルコの作家マフマット・ムーラット・イルダーンの “To sulk is to create a noise; to smile is to create a music.”(不機嫌は騒音を立て、笑顔は音楽をつくる)。もうひとつは、チャップリン作曲の名曲「Smile」に込められた “You’ll find that life is still worth while, if you just smile.”(もし君がほほ笑んだなら、人生にはまだ価値があるとわかるだろう)という一節です。
この2つの言葉からインスピレーションを得て書かれたこの曲には、世界が困難な時代にあっても音楽がもたらす希望と癒やしが込められています。穏やかな旋律と心に寄り添う響きが、聴く人の心にそっと微笑みを届けてくれることでしょう。

- 作編曲: 清水大輔
- 演奏形態: サクソフォンソロ(A.sax./Pf. )
- 演奏時間: 7分30秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0526)
- 発売日: 2022/08/08
ネクスト・エンジェルス[ソロ&ピアノ]
もともと友人の結婚式のために書かれたピアノ曲を、2002年にアルトサクソフォンとピアノ用に改訂した作品です。タイトルの「ネクスト・エンジェルス」は、友人の奥様とそのお腹に宿った命、ふたりの“天使”に寄せて名付けられました。
柔らかく包み込むようなメロディと、サクソフォンのあたたかい音色が重なり合い、家族の誕生に寄り添うような優しさが全編を通して流れています。シンプルな構成ながらも、音のひとつひとつに込められた想いが深く、演奏者にも聴く人にも、あたたかな感情を呼び起こしてくれる一曲です。
「優しさ」をテーマにしたこの作品は、アンコールピースとしてもおすすめ。サクソフォンの繊細な表現力を存分に生かすことができる、心に残る名作です。
もともとはアルト・サクソフォンのソロでしたが、ソプラノ・サクソフォン (in Bb移調譜)も含まれています。

- 作編曲: 清水大輔
- 演奏形態: サクソフォンソロ(Eb or Bb Solo/Pf. )
- グレード: 3
- 演奏時間: 6分0秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0632)
- 発売日: 2025/02/06
パラサイティック・ジョイ[金管5重奏]
2本のTrumpet 、Horn 、Trombone 、Tubaの5つの金管楽器がおしゃべりをしているような、とても楽しい曲です。「やぁ!元気だった?」のファンファーレに始まり、お互いに相づちを打ったり、笑ったり、一緒に歌ってみたり…。時ににぎやかに、時に穏やかに金管楽器が語り合います。
タイトルは、“演奏者がこの作品を演奏する事により楽しさが寄生し、聴いてくださる全ての人たちに『喜び』を感じていただけることを願って”、作曲者の清水大輔氏がつけたもの。喜びと幸せを感じる曲をどうぞ楽しんでみてください。

- 作編曲: 清水大輔
- 演奏形態: 金管5重奏(Trp. 1/Trp. 2/Hr./Trb./Tuba )
- グレード: 3+
- 演奏時間: 5分10秒
- 出版: フォスターミュージック(FME-0008)
- 発売日: 2008.10.10
【まとめ】映画音楽のような輝かしい響きと厳かさ持つ清水大輔作品
清水大輔は日本国内のみならず海外でも注目を集めており、その活動実績も豊富です。
前述のとおり、米国最大規模のバンド指導者クリニックであるミッドウェスト・クリニック、WASBE主催の国際作曲コンテストでは《空を削るもの》《ZAPPING》が最終選考や入賞を果たすなど、国際的な舞台での実績を積み重ねています。特に、米国のジョン・フィリップ・スーザ財団/ABA(全米バンドマスター協会)主催のスーザ・オストウォルド賞作曲コンクールにおいてのファイナリスト進出は日本人作曲家として快挙と言えます。このように海外の専門家による審査の場でも清水作品の独創性・完成度が認められており、国際的な作曲家としての地位を着実に高め、各国の吹奏楽コミュニティで着実にファンを増やしています。
豊かな音楽的物語性と聴衆を惹きつけるメロディーメイクで、多くの名演・名盤を生み出してきた清水氏。これからも国内のコンクールシーンのみならず、世界の舞台で活躍し続けることが期待されます。その動向にぜひ注目していきたいと思います。
吹奏楽を柱とした音楽出版社として2008年に設立いたしました。 「フォスター」という単語には、育てる・育成するといった意味があり、日本の吹奏楽をもっと元気に楽しく発展させていきたいという思いをこめています。みなさまのブラバンコンシェルジュとして、様々な情報を発信していきます。