アストル・ピアソラ(1921.3.11 – 1992.7.4)はアルゼンチン出身の作曲家、バンドネオン奏者。
チェロ奏者ヨーヨーマ氏の奏でるリベルタンゴのテレビCMが放映されてから一気に日本でも火がつき、CDなども広く発売されるようになって以来、タンゴと言えばピアソラというほどの人気を誇る作曲家となりました。今では楽譜も多く出版され、さまざまな形態で演奏を楽しむ人も増えています。
アルゼンチンの伝統音楽であるタンゴに、クラシックやジャズの要素をふんだんに取り入れたピアソラのスタイルは、従来の“踊る”タンゴから“聴く”タンゴへと変化させ、まったく新しい音楽作り上げました。
ピアソラの音楽についての解説は、他の文献を参考にしていただくとして、今回は「吹奏楽で奏でるピアソラ音楽」と題し、2021年、ピアソラ生誕100周年を彩る作品をご紹介します。
タンガーソ~ブエノスアイレス変奏曲|ピアソラ, A arr. 仲田守
私の大切な友人、安藤ガルシア真美子さんから、この作品の存在を教えて頂いたのは、彼女の大切なパートナー、エドアルド ガルシアさんが他界されてから、半年程経ってからでした。
作品に対する彼女の思いを、ピアソラの魅力を吹奏楽を通して、多くの方に知って頂きたいと、編曲(移調)に取り掛かりました。(仲田守)
Tangazoに寄せて|ガルシア安藤真美子
「日本人はみんな、タンゴといえばピアソラですね。って言うんだけど、僕たちにとってタンゴとは、数多くの素晴らしい古典のタンゴのことを言うんだよ。ピアソラは海外でいち早く認められたけれど、アルゼンチンで受け入れられるにはとても時間がかかったんだ。彼の音楽はタンゴではあるし素晴らしいけれど、新しすぎる。『タンゴといえばピアソラ』ではないんだ。」アルゼンチン出身の夫が常々言っていた。
Bunkamuraル・シネマで上映されたドキュメンタリー映画「ピアソラ 永遠のリベルタンゴ」を見て、「踊らないタンゴはタンゴじゃない」というアルゼンチンの人々の概念が変わっていくまでの孤独な活動と、幼い頃に一旦離れたものの、若き天才バンドネオン奏者として再び戻った祖国アルゼンチンに対する思い、どんなバッシングも取り合わず自分の音楽を信じて突き進む様子が当時の映像を通して伝わってきた。同時に、夫が抱く「タンゴといえばピアソラ」という言葉への違和感も理解できた気がした。少しは正しくピアソラを好きになれただろうか。
南米をテーマにした管弦楽作品を集めたCDに「Tangazo」も収録されている。私のコレクションにかなり前からあり、何度か聴いてきたはずだったが、このドキュメンタリー映画を観て改めて聴くと、また違った感情が芽生えた。これはピアソラの作品のオーケストラ・アレンジではない。彼が管弦楽作品として書き下ろしたものだ。彼がすでにタンゴに革命を起こしていた頃、クラシックの作曲家になるべく渡仏して、ナディア・ブーランジェのもとで学んだ。初めはタンゴを封印していた彼が迷い悩みながら、彼女の助言も大きなきっかけとなり、たどり着いたスタイルがこの15分ほどの作品に込められているように感じた。それからというもの聴くたびに惹かれ、なぜかそのサウンドは、次第に頭の中で私が所属する東京佼成ウインドオーケストラの仲間達の音に変換されていった。
ピアソラ生誕100年という記念すべき年に、この作品を吹奏楽で演奏できるようになったことは、何かの巡り合わせとしか思えない。
今回、私の思いに共感してすぐに編曲してくださった仲田守氏に深く感謝いたします。
「不思議なもので、アルゼンチンから遠ざかるほどに、自分の国の音楽をもっと演奏したいと思うんだ。」と言いながら、私にアルゼンチン音楽の魅力を教えてくれた故エドアルド・ガルシアにこの素晴らしいアレンジが届きますように。
作編曲:ピアソラ, A / arr. 仲田守(Astor Piazzolla / arr. Mamoru Nakata)
- 吹奏楽中編成
- Time: 0:12:30
- Grade: 5
- Item No.: FML-0291
アストル・ピアソラ・ポートレイト|ピアソラ, A arr. ラヴィッツ, A
タンゴの革命児アストル・ピアソラの代表的な4作が約12分半のメドレーにまとめられています。
日本でもしばしば演奏される作品ばかりなので、大人な雰囲気のコンサートをにうってつけのメドレーです。
作編曲:アストル・ピアソラ / arr. アンドレア・ラヴィッツ (Astor Piazzolla / arr. Andrea Ravizza)
- 吹奏楽中編成
- Time: 0:12:30
- Grade: 4
- Item No.: SCOESB132123
【収録曲】
- Summit
- Adios Nonino
- Oblivio
- Libertango
リベルタンゴ|ピアソラ, A arr. マーサ, P
アルゼンチンの作曲家アストル・ピアソラの古典的なタンゴの一つであるリベルタンゴは、彼の最も人気のある作品の一つです。
官能的なラテン・ロック風にアレンジされたこのバージョンでは、主なメロディーラインに木管楽器が加わり、トランペットのための短いソロもあり、幅広い層の方にお楽しみいただけます。
作編曲:ピアソラ, A / arr. マーサ, P (Astor Piazzolla / arr. Paul Murtha)
- 吹奏楽中編成
- Time: 0:2:30
- Grade: 2
- Item No.: HL. 04004783
ストリート・タンゴ|ピアソラ, A arr. ロングフィールド, R
アストル・ピアソラは、ジャズの要素やハーモニー、不協和音を取り入れ、伝統的なタンゴを新たな芸術作品へと昇華させました。彼の代表作「ストリート・タンゴ」はロングフィールドのアレンジにより、Symphonicバンドのために見事に適応されています。コンサートにオススメの1曲。
作編曲:ピアソラ, A / arr. ロングフィールド, R (Astor Piazzolla / arr. Robert Longfield)
- 吹奏楽中編成
- Time: 0:4:30
- Grade: 4
- Item No.: HL. 48023822
吹奏楽を柱とした音楽出版社として2008年に設立いたしました。 「フォスター」という単語には、育てる・育成するといった意味があり、日本の吹奏楽をもっと元気に楽しく発展させていきたいという思いをこめています。みなさまのブラバンコンシェルジュとして、様々な情報を発信していきます。