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サックスとピアノによる変幻自在なアンサンブル─D-sax

D-sax(ディー・サックス)は、10名前後のサクソフォニストと1人のピアニストという一風変わった編成からなるプロのサクソフォン・アンサンブルで、2007年に結成されました。その演奏は、繊細さと力強さを併せ持ち、アンサンブルの可能性を大きく広げる存在として、注目されています。ここでは、D-SAXの歩みと、彼らの演奏を通して広まった人気作品の魅力をご紹介します。

目次

D-sax(ディー・サックス)とは?

東京ミュージック&メディアアーツ尚美(現・尚美ミュージックカレッジ専門学校)のディプロマ科(服部真理子クラス)の履修生を中心に2007年に発足し、サクソフォンとピアノの室内アンサンブルの魅力を追求して研鑽を積んできました。

D-saxの特徴は、編成の柔軟さと多彩なレパートリーにあります。従来のサクソフォンアンサンブルの枠にとらわれず、ピアノを加えた編成や大人数アンサンブルによってクラシックから現代曲まで幅広く演奏している点にあります。

プロジェクター映像を用いたサン=サーンス『動物の謝肉祭』や、サクソフォンオーケストラ+ピアノで演奏するJ.S.バッハ『ブランデンブルク協奏曲第5番』、ピアニスト服部真理子をソリストに、ガーシュウィン『ラプソディ・イン・ブルー』ラヴェル『ピアノ協奏曲ト長調』、楽章ごとに編成を変えるカントルーブ『オーベルニュの歌』など、D-saxならではのユニークなプログラムを展開。2009年にはフランスの名手ファブリス・モレティをソリストに迎え、イベールのアルトサクソフォン小協奏曲《コンチェルティーノ・ダ・カメラ》を共演して好評を博し、その縁で2012年春にパリとエピナルでの海外公演も成功させています。

このように国内外で精力的に活動しつつ、サクソフォンアンサンブルの可能性を追求して歴史を重ねてきたのがD-saxなのです。

D-sax Saxophone Ensemble Libraly

演奏活動だけでなく、D-saxは自ら編曲した楽曲の楽譜出版にも力を入れており、彼らのレパートリーの中から選りすぐりの作品が2018年にフォスターミュージック社より「D-Saxサクソフォンアンサンブル・ライブラリー」シリーズとして発売されました。クラシックの名曲アレンジからポピュラー曲まで幅広いラインナップが魅力です。

さまざまな編成のサックスアンサンブルにピアノを加えた、色彩豊かなアンサンブルをお楽しみください。

ルーマニア民俗舞曲 – 4本のサクソフォンとピアノのための|ベラ・バルトーク arr. 笹尾淳一

曲中にはバグパイプのような民俗楽器で演奏されるであろう部分があったり、独特な和音であったりと、言い方は悪いですが「土臭い」部分や素朴さが感じられると思います。
またsfやアクセント、テヌートなど、独特なリズムを意識して演奏することで、曲がさらに活き活きとしてくると思います。
それぞれの曲は短いですが、曲調の違いを十分に楽しんで演奏してください。(笹尾淳一)

  • 作編曲: ベラ・バルトーク arr. 笹尾淳一
  • 演奏形態: サクソフォン4重奏(S.sax./A.sax./T.sax./B.sax./Pf. )
  • 演奏時間: 6分50秒
  • 出版: フォスターミュージック(FME-0388)
  • 発売日: 2018/09/27

亡き王女のためのパヴァーヌ – 5本のサクソフォンとピアノのための|モーリス・ラヴェル arr. 石森裕子

印象的な冒頭のホルンをテナーサクソフォンの繊細な高音域で演奏したいなと思ったところから編曲がはじまりました。
ピアノパートはもちろん伴奏という位置づけではなく、主に弦楽器群の大切な表現を担っています。
管弦楽版のそれぞれの楽器の音色をイメージして演奏していただけると良いかと思います。(石森裕子)

  • 作編曲: モーリス・ラヴェル arr. 石森裕子
  • 演奏形態: サクソフォン5重奏(S.sax./A.sax. 1/A.sax. 2/T.sax. 1/T.sax. 2/Pf. )
  • 演奏時間: 6分0秒
  • 出版: フォスターミュージック(FME-0389)
  • 発売日: 2018/09/27

日本のうたメドレー – 8本のサクソフォンとピアノのための| arr. 壹岐隆邦

日本の童謡・唱歌4曲からなるメドレー。「故郷」から始まるこのメドレーは、日本の”ふるさと”の情景に思いを馳せつつ曲が巡り、また「故郷」に戻って終曲となる。
これは同時に、日本の四季の移ろいを表しています。曲は調を変えニュアンスを変え、次々に展開していきます。その移ろいを楽しんでいただければ幸いです。(壹岐隆邦)

  • メドレー収録曲
    • 故郷(岡野貞一)
    • 花(滝廉太郎)
    • 浜辺の歌(成田為三)
    • 赤とんぼ(山田耕筰)
  • 作編曲:  arr. 壹岐隆邦
  • 演奏形態: サクソフォン8重奏(S.sax. 1/S.sax. 2/A.sax. 1/A.sax. 2/T.sax. 1/T.sax. 2/B.sax. 1/B.sax. 2/Pf. )
  • 演奏時間: 8分50秒
  • 出版: フォスターミュージック(FME-0390)
  • 発売日: 2018/09/27

グローリア ニ長調~いと高きところに神に栄光あれ|ヴィヴァルディ, A arr. 三國可奈子

本来は女声四部と管弦楽合奏の形態を取る宗教音楽で、スコアでは、合唱隊はアルトとテナーをそれぞれ2声に分けて書かれ、管弦楽パートはSSAATBの6重奏で書かれています。
合唱部を演奏する人数も、譜面通りでなくてかまいません。さらに、器楽合奏と合唱隊は舞台上での立ち位置を工夫することでより良い演奏効果が得られます。
この曲を演奏される各団体でオリジナルの演奏形態を目指して、楽しく演奏していただけば幸いです。(三國可奈子)

  • 作編曲: ヴィヴァルディ, A arr. 三國可奈子
  • 演奏形態: サクソフォン10重奏
  • 演奏時間: 2分30秒
  • 出版: フォスターミュージック(FME-0391)
  • 発売日: 2018/09/27

リベルタンゴ~サクソフォンカルテットとピアノ、サクソフォンオーケストラのための|アストル・ピアソラ arr. 笹尾淳一

リベルタンゴは大変人気のある曲でさまざまなアレンジが出版されていますが、このアレンジはサクソフォーンカルテットとピアノをフィーチャーし、サクソフォーンのアンサンブルがそれらを盛り上げます。

サクソフォーン中編成以上のアンサンブルになると、非常に豊かな響きになるのですが、その分メロディーやソロと伴奏のバランスがとても重要になります。伴奏はソロのバランスを聴きながら、全体の伴奏がpになる様に音量や響きに気を配ってください。ラストに向かってテンポをあげたり、ハンドクラップや足踏みをベースラインと同じリズムで入れても効果的です。(笹尾淳一)

  • 作編曲: アストル・ピアソラ arr. 笹尾淳一
  • 演奏形態: サクソフォンクワイヤー
  • 演奏時間: 4分30秒
  • 出版: フォスターミュージック(FME-0393)
  • 発売日: 2022/09/22

まとめ

D-saxはその独自の編成と意欲的な選曲によって、サクソフォン四重奏の世界に新風を吹き込み、国内のサクソフォン愛好者に多くのインスピレーションを与えてきました。彼らの歩みとともに生み出された出版譜は、演奏者にとって新鮮で挑戦しがいのあるレパートリーであり、聴衆にとっても魅力的なプログラムを演出できる内容となっています。

クラシックの名曲をサックスで奏でる楽しみから、タンゴの情熱や日本の懐かしいメロディーを合奏で味わう喜びまで、D-saxの楽譜はサクソフォンアンサンブルの醍醐味が詰まった宝庫です。ぜひサクソフォン奏者の皆さんもD-saxの楽譜に触れて、その音楽的な魅力を仲間と共に楽しんでみてください。D-saxの活動から生まれたこれらの作品が、皆さんのレパートリーに彩りを添え、サクソフォンアンサンブルの世界を一層豊かにしてくれることでしょう。

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