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樽屋雅徳 ✕ 土気シビック|新作作品集『ペルソナ・ノン・グラータ』特集

樽屋雅徳 吹奏楽作品集 Vol.3『ペルソナ・ノン・グラータ』

『マードックからの最後の手紙』『白虎繚乱』『ONE!』『Crossfire』、数々の人気曲を送り出してきた作曲家・樽屋雅徳、フォスターミュージックからは実に11年ぶりとなる作品集第3弾を発表しました。

タイトルは「ペルソナ・ノン・グラータ(Persona Non Grata)」。

“歓迎されざる者”という意味を持つこの言葉には、樽屋作品が一貫して描いてきた「人間の尊厳」「再生への祈り」が凝縮されています。アルバムには新曲3作品を含む全7曲を収録。

樽屋ワールドの「今」を集約した、まさに集大成とも言える内容。音楽の中で紡がれる一つひとつの物語が、私たちの記憶に深く刻まれるでしょう。

演奏は、樽屋作品を最も深く理解する土気シビックウインドオーケストラ。各作品のドラマをまるで映画のように鮮やかに描き出します。「樽屋雅徳 ✕ 土気シビック」——この黄金タッグによる最新セッション、この作品集を聴かずして、樽屋サウンドは語れません。

目次

樽屋雅徳吹奏楽作品集 Vol.3「ペルソナ・ノン・グラータ」収録曲

  • 白虎繚乱〜なれし御城に残す月影〜
    土気シビックウインドオーケストラ/指揮:樽屋雅徳
  • シャムロック〜聖パトリキウスの奇跡〜
    土気シビックウインドオーケストラ/指揮:加養浩幸
  • マードックからの最後の手紙 (2021年版) [Ending B]
    土気シビックウインドオーケストラ/指揮:樽屋雅徳
  • Crossfire 2023 ed. – November 22 J.F.K (コンポーザーズ・カット・エディション)
    土気シビックウインドオーケストラ/指揮:加養浩幸
  • シャングリラ〜とどめおかまし大和魂〜
    土気シビックウインドオーケストラ/指揮:加養浩幸
  • ペルソナ・ノン・グラータ
    土気シビックウインドオーケストラ/指揮:加養浩幸
  • ONE! (2025年版)
    土気シビックウインドオーケストラ/指揮:樽屋雅徳

Apple Music, Spotify, Amazon Musicほか、各種音楽配信サービスでお聴きいただけます。

白虎繚乱~なれし御城に残す月影~[小編成]

幕末の戊辰戦争において、会津藩を守るために戦った少年部隊・白虎隊の勇気と忠義を讃え、彼らの誇り高き武士の精神と、滅びの中に残された希望の光を描きました。

冒頭の哀愁を帯びた旋律が、時代に翻弄された人々の悲しみを呼び起こし、続くAllegro部分では力強い鼓動のリズムが若き兵士たちの決意を象徴します。中間部では祈りにも似た美しい旋律が広がり、終結部では戦友との絆を象徴するように、旋律や和声の変化、楽器の対話が織りなされます。

副題「なれし御城に残す月影」は、開城前夜に山本八重(のちの新島八重)が詠んだ句に由来します。
慣れ親しんだお城を去る無念と、なおも誇りを失わぬ覚悟。その情景が音楽の隅々に宿っています。

新政府軍との戦いの末、飯盛山で自決した白虎隊二番隊の若者たち。その悲劇を伝える飯沼貞吉の語りによって、私たちは今もその心を知ることができます。
樽屋はこの曲に、彼らを単なる“悲劇の英雄”としてではなく、信念と正義に生きた人間として描きました。
歴史を音に刻むことで、現代に生きる私たちに「忠義」「誇り」「祈り」の意味を問いかける作品です。

この収録を機に打楽器のオプショナルパートが追加され、3〜5人演奏者で演奏可能となっています。

  • 作編曲: 樽屋雅徳
  • 演奏形態: 吹奏楽小編成(18 – 29パート)
  • グレード: 3+
  • 演奏時間: 6分50秒
  • 出版: フォスターミュージック(FML-0351)
  • 発売日: 2024/02/28

シャムロック~聖パトリキウスの奇跡~[小編成]

アイルランドの守護聖人・聖パトリキウスの伝承をもとにした、スピリチュアルで温かな新作。
本作はマンドリン合奏団〈ARTE MANDOLINISTICA〉の委嘱によって書かれた作品を、吹奏楽で再構築したものです。

タイトルの“シャムロック”とは、三つ葉のクローバーのこと。聖パトリキウスがこの植物を使い、神の「三位一体(父・子・聖霊)」を説いたという逸話にちなみ、現在ではアイルランドの象徴として深く根づいています。

穏やかな導入部では、霧の中に差し込む光のように主題の断片が現れ、やがてアイリッシュのジグへと展開。リズミカルな跳躍と舞曲のような旋律が、祝祭のような高揚感を描き出します。そして後半では、民謡を思わせる温かい主題を全体で歌い上げながら、静かな祈りとともに幕を閉じます。

異文化への敬意と信仰の物語を、樽屋雅徳らしい叙情とスケールで描いた一曲。「祈り」「再生」「受容」という彼の音楽世界の根幹を、まっすぐに感じ取ることができるでしょう。

  • 作編曲: 樽屋雅徳
  • 演奏形態: 吹奏楽小編成(24 – 32パート)
  • グレード: 3
  • 演奏時間: 8分30秒
  • 出版: フォスターミュージック(FML-0377)
  • 発売日: 2025/10/16

マードックからの最後の手紙(2021年版)Ending B[大編成]

玉名女子高等学校吹奏楽部の委嘱によって加筆・改訂され、全日本吹奏楽コンクールで初演されました。今回のアルバムで初収録となるEnding Bでは、これまでの静かな終結とは対照的に、原曲の持つ温もりを大切にしながらも、より技巧的で豊かな響きを追求しました。

これまでの壮大な終結とは対照的に、沈みゆく船内の混乱、極限の中でもがく姿、荒れ狂う海を思わせる激しいリズムとパッセージが、作品の緊張感を際立たせています。

音が押し寄せ、交錯し、そして崩れ落ちていく、静けさではなく、混乱の中で生まれるたぎるような祈り。このEnding Bは、物語の終焉を新たな角度から描き出した、もうひとつの「最後の手紙」です。

  • 作編曲: 樽屋雅徳
  • 演奏形態: 吹奏楽大編成(43 – 44パート)
  • グレード: 4+
  • 演奏時間: 8分0秒
  • 出版: フォスターミュージック(FML-0300)
  • 発売日: 2022/01/20

Crossfire 2023 ed. – November 22 J.F.K〈コンポーザーズ・カット・エディション〉[小編成]

2019年に〈土気シビックウインドオーケストラ〉のアルバム収録曲として、ケネディ暗殺事件を題材に書かれた人気作「Crossfire – November 22」を、玉名女子高等学校の委嘱により大幅に改訂。今回、さらに小編成でも演奏できるよう大幅にオーケストレーションを再構成した新版です。原作のスケールや緊迫感はそのままに、よりクリアで緻密なサウンドバランスへと進化しました。

讃美歌「God Be With You Till We Meet Again」に始まり、陰謀と混乱を思わせるPresto、そして哀切なGraveへ。アメリカ国歌の断片が遠く記憶の中を通り過ぎ、強奏のコラールと疾走するパッセージが希望と無念を交錯させながら幕を閉じます。

“人間の正義と信念”を描いた人気作をより多くバンドにお楽しみいただけることとなりました。

  • 作編曲: 樽屋雅徳
  • 演奏形態: 吹奏楽小編成(24 – 27パート)
  • グレード: 4+
  • 演奏時間: 7分35秒
  • 出版: フォスターミュージック(FML-0374)
  • 発売日: 2025/10/16

シャングリラ~とどめおかまし大和魂~[小編成]

八千代松陰高等学校の委嘱により作曲された、エネルギッシュでユーモラスな新作。校名の由来となった思想家・吉田松陰の理想郷への想いをもとに、「シャングリラ(理想郷)」というタイトルが付けられました。

吉田松陰が描いた理想の社会は、志ある人材の育成、国の進歩、自由と平等、そして国際的な交流に満ちた未来。その思想は明治以降の日本を支える礎となり、今なお現代社会に多くの示唆を与えています。

音楽は、そんな松陰の情熱と若さを樽屋雅徳らしいドラマ性とユーモアで描き出します。軽妙なリズムと華やかなモチーフが交錯し、まるで“志士たちが理想を語り合う賑やかな夜会”のよう。中間部には静かな祈りが漂い、理想と現実の間で揺れる人間の葛藤が垣間見えます。

副題「とどめおかまし大和魂」は、時に滑稽で、時に真剣に——それでも前へ進もうとする日本人の精神をユーモラスに表したもの。シリアスな作品が並ぶ本作集の中で、ひときわ生命力に満ちた“もう一つの理想郷”がここにあります。

  • 作編曲: 樽屋雅徳
  • 演奏形態: 吹奏楽小編成(25 – 28パート)
  • グレード: 3
  • 演奏時間: 7分10秒
  • 出版: フォスターミュージック(FML-0376)
  • 発売日: 2025/10/16

ペルソナ・ノン・グラータ[大編成]

本作のタイトル「ペルソナ・ノン・グラータ(Persona Non Grata)」は、ラテン語で“歓迎されざる者”を意味します。その言葉が示すのは、戦時下で命を賭して行動した一人の外交官——杉原千畝(すぎはらちうね)の物語です。

第二次世界大戦中、ナチスの迫害を逃れようとするユダヤ人に「命のビザ」を発給し、約6,000人もの命を救った杉原。上層部の命令に背きながらも人としての良心を貫いた彼の行動は、戦後長く黙殺されながらも、今では人道の象徴として世界中で語り継がれています。

音楽はPianoとFluteによる静かな旋律で幕を開け、その穏やかなテーマは曲全体を通して姿を変えながら何度も現れます。やがて激動の中に引き裂かれ、葛藤や痛みを経て、クライマックスでは全楽器が一体となり、“信念を貫いた人間の尊厳”を高らかに讃えます。

拒絶されながらも、なお人を信じる勇気。静けさの奥に燃える希望。理不尽や分断が絶えない時代に、音楽が人の心をつなぎ直す力を持っていること—— その確信を胸に刻む、アルバムの象徴的な一曲です。

  • 作編曲: 樽屋雅徳
  • 演奏形態: 吹奏楽大編成(41パート)
  • グレード: 5
  • 演奏時間: 7分0秒
  • 出版: フォスターミュージック(FML-0375)
  • 発売日: 2025/10/16

ONE!(2025年版)[大編成]

2013年、石川県立小松明峰高等学校吹奏楽部の委嘱により誕生したこの作品は、“音楽でひとつになる”という普遍的なテーマを掲げた人気作のひとつです。タイトル「ONE!」には、同校吹奏楽部の部訓「自感和」と、「No.1」「Only 1」「みんなはひとつ」という合言葉の想いが込められています。

1音1音に想いを込め、仲間と共に音を紡ぐこと。誰もがかけがえのない存在であり、共に演奏する喜びこそが音楽の原点であること。初めて楽器を手にした日から続く努力や希望を、もう一度思い出してほしい——

そんな願いを音に託した、まっすぐなメッセージソングです。

2025年版では、2014年の現行版(FMP-0051)をもとにオーケストレーションを再構築し、グレードを見直すことで、より幅広いバンドが演奏できるようになりました。演奏会の幕開けや、アンコールなど、会場が音楽でひとつになる瞬間に演奏していただきたい1曲です。

  • 作編曲: 樽屋雅徳
  • 演奏形態: 吹奏楽大編成(38パート)
  • グレード: 3+
  • 演奏時間: 6分25秒
  • 出版: フォスターミュージック(FMP-0111)
  • 発売日: 2025/10/16

11年ぶりの作品集となる『ペルソナ・ノン・グラータ』は、歴史、信仰、理想や葛藤——、樽屋雅徳がこれまで描いてきた“人間の光と影”の物語を結晶させた一枚です。

どんな状況の中でも、自分を信じ、仲間を信じ、音楽を信じ、前を向いて歩み続けること。樽屋雅徳が音で紡ぎ続けてきた「生きる力」を、次はあなたのスタイルで表現してください。

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