吹奏楽のコンサートで演奏する曲目を選ぶにあたり、壮大な曲を取り入れることは演奏会の盛り上がりにとって重要です。吹奏楽のための楽曲には壮大なイメージをもつ楽曲が多くあります。
その中でも特に演奏しやすく、テーマがはっきりしている楽曲の楽譜を紹介します。
エクストリーム・ベートーヴェン
「エクストリーム・ベートーヴェン」はヨハン・デ・メイが作曲した吹奏楽曲です。この楽曲の始まりには「ピアノ協奏曲第五番」の第二楽章で登場する旋律が引用されており、これをきっかけにベートーヴェン作品の主題が次々登場していきます。
しかしこれらの引用された主題はそのまま再現されているわけではなく、音型や構成楽器がアレンジしてあったり本来とは異なるダイナミクスで演奏されたりと新鮮な表現を楽しむことができます。
登場する主題はベートーヴェンの全交響曲をはじめとし「エグモント」序曲や「トルコ行進曲」「エリーゼのために」などベートーヴェンの作品の中でも特に有名な楽曲から抜粋されているので音楽に詳しくない人でも楽しんで聴くことができるはずです。
[吹奏楽-輸入譜] エクストリーム・ベートーヴェン 作曲:ヨハン・デ・メイ 編成:中編成 グレード:6 演奏人数の目安:42人 ※原則として各楽器1名(optionalは-1、div.は+1)で算出 演奏時間:18分12秒 出版社:アムステル |
宇宙の音楽
「宇宙の音楽」はフィリップ・スパークが作曲した吹奏楽のための楽曲です。「宇宙の音楽」は宇宙の起源と果てなき宇宙の深淵に惹かれたフィリップ・スパーク本人が宇宙の神秘性を反映して作曲したものです。
楽曲の流れとしては、ホルンソロによるイントロから始まり、その幻想的で静穏な雰囲気から一転して宇宙の大爆発「ビッグバン」をイメージさせる場面、そして「孤独な惑星」というローテンポな場面に移行します。
「ビッグバン」では金管楽器を多用して爆発を表現しています。続く「小惑星と流星」は地球の創造、文明の探求をテーマとした場面です。管楽器の音色の特性を効果的に活用して創造や探求を表現します。
最後は「未知」というテーマで宇宙開発の行く末に疑問を残す形でフィナーレを迎えます。場面間ではもちろん、各々の場面内でも表情の変化が豊富なので聴きごたえのある楽曲に仕上がっています。
[吹奏楽-輸入譜] 宇宙の音楽: Music of the Spheres 作曲:フィリップ・スパーク 編成:中編成 グレード:6 演奏時間:15分30秒 出版社:アングロ・ミュージック |
モンタニャールの詩
『モンタニャールの詩』は日本では人気が高く、多くのコンサートで演奏されています。コンクールの自由曲に採用されることも多いです。楽曲全体を通してわかりやすい流れになっており、幻想的かつ荘厳な表現が多い演奏になります。
「モンタニャールの詩」とはフランス語で「山の詩」と訳され、曲全体を通して山などの自然をイメージできる内容になっています。特に木管楽器の多用や種類豊富な打楽器の登場により壮大な自然を想像できます。
自然の他にも、中世の舞曲や民族同士の戦いの様を描いた部分もあります。自然をテーマとした壮大な演奏がしたい場合はこの楽曲をオススメします。
[吹奏楽-輸入譜] モンタニャールの詩 作曲:ヤン・ファンデルロースト グレード:6 出版社:デ・ハスケ・パブリッシング |
交響詩「アルプスの詩」
「アルプスの詩」は「青い水平線」で有名なチェザリーニ作曲の交響詩です。R.シュトラウス没後50周年を記念して作曲されました。シュトラウスの「アルプス交響曲」を連想させる作品になっています。
この交響詩は七つの部分から構成されており、それぞれ霧、哀愁、思いがけない光、精神活動、高原牧場、嵐、神の国というタイトルが付けられています。それゆえ曲調の変化が大きいのが特徴的で、聴く人を飽きさせません。
タイトルからも連想できるように、自然の豊かさや厳しさをイメージできる作品になっています。こちらの楽曲もコンサートなどで多く利用されている人気曲です。
[吹奏楽-輸入譜] 交響詩「アルプスの詩」: Poema Alpestre 作曲:フランコ・チェザリーニ グレード:6 演奏時間:21分0秒 出版社:ミトロパ |
ローマの松
「ローマの松」はイタリアの作曲家レスピーギによって作曲された「ローマ三部作」のうちの一つです。この楽曲では「松」という自然を描くと同時に古代ローマへの郷愁や幻想が表現されています。全体は四部構成になっており、それぞれの部でははっきりとした場面が描かれています。
一部「ボルゲーゼ荘の松」は松並木の間で子供たちが遊んでいる様をホルンをはじめとする金管楽器の高らかなサウンドで表現します。吹奏楽アレンジでも楽しそうな情景をイメージできる編曲になっています。
二部「カタコンバ付近の松」では一部とは全く異なる曲調になります。カタコンバとは古代ローマにおける初期キリスト時代の墓のことを意味します。二部全体を通してキリスト信者たちの悲観、そして祈念を表した曲調になっており、吹奏楽アレンジでもオーケストラと同様のイメージで演奏できるような編曲に仕上がっています。
三部「ジャニコロの松」は幻想的な満月の月光の中に佇む松を描いた作品です。クラリネットをはじめとする木管楽器のソロが幻想的かつ哀愁漂うイメージをもたらします。
四部「アッピア街道の松」は古代ローマの進軍道路にもなっていたアッピア街道にある松を題材としており、軍隊の行進をイメージできる曲です。アッピア街道の霧深い夜明けを表現した静かな導入から軍隊の行進に伴って新しく昇る太陽のごとく壮大になっていきます。
本来は弦楽器やチェレスタといった特殊な鍵盤楽器を利用した管弦楽曲ですが、現在では吹奏楽で演奏される機会が多くなっています。
[吹奏楽-輸入譜] ローマの松 作曲:オットリーノ・レスピーギ 編曲:木村吉宏 編成:中編成 演奏人数の目安: 37人 ※原則として各楽器1名(optionalは-1、div.は+1)で算出 グレード:6 演奏時間:22分0秒 出版社:デ・ハスケ・パブリッシング |
壮大な曲を選ぶなら
吹奏楽の演奏会では壮大な曲を複数用意する場合が多いです。それは吹奏楽が室内楽やジャズなどの演奏形態とは異なり、音圧のある壮大な演奏が可能だからです。
つまり、吹奏楽の演奏会を聴きにくる多くのお客さんは壮大な曲を楽しみにしています。それほど壮大な曲目の選択は重要となってきます。なので、上に挙げた楽曲のようにテーマがはっきりしていて演奏し応えがあるものを選ぶことをオススメします!
吹奏楽を柱とした音楽出版社として2008年に設立いたしました。 「フォスター」という単語には、育てる・育成するといった意味があり、日本の吹奏楽をもっと元気に楽しく発展させていきたいという思いをこめています。みなさまのブラバンコンシェルジュとして、様々な情報を発信していきます。