吹奏楽の曲選びの条件に「グレード」はとても重要です。初級バンドなら日本の楽譜なら2〜3、海外譜なら2+〜3+くらいのものを選ぶのがオススメです。
全体的に易しいレベルに抑えつつ、作曲家が工夫を凝らした演奏効果の高い楽曲がたくさんあります。今回は小編成(20人前後)バンド向け、グレード2〜2+ 、活躍中の日本人作曲家4名による楽曲をピックアップしました。
目次
風になびく草原(下田和輝)
”緑豊かな草原を渡る風”がテーマの、さわやかな季節にぴったりの楽曲です。
軽快なスネアドラムのリズムと、小気味よいスタッカートに乗ったハツラツとしたメロディーが印象的なオープニングとエンディングは、風になった気分で軽やかに楽しく演奏するのがポイントです。
風が凪ぐ穏やかなシーンは、フルートソロ〜木管アンサンブル〜サックス・ホルン・ユーフォニアムのアンサンブルと、主旋律と裏旋律(オブリガード)が呼びかけ合うように進行します。各楽器の音色とハーモニーをたっぷりと奏でましょう。
「小中高生が無理なく楽しんで演奏できる曲を目指した」と語る下田先生のインタビューも是非ご覧ください。
風になびく草原
- 編成: 吹奏楽小編成
- グレード: 2+
- 演奏時間: 6分5秒
- FML-0231 フォスターミュージック
- 収録:20人のコンクールレパートリーVol.4 「ちはやふる」
- 関連情報:作編曲家 下田和輝インタビュー | 『風になびく草原』
キラキラ星変奏曲(石毛里佳)
時代も世代も言語も超えて世界中で愛されている超有名曲「キラキラ星」を、さまざまなバリエーションに大胆アレンジ。遊園地のBGMのような可愛らしいマーチ風、スタイリッシュなスウィングジャズ風、重厚且つ堂々としたシンフォニー風など、ジャンルも実に多彩。曲中には、テンポや拍子の変更、変調、3連符や6連符などが散りばめられており、音楽的な面白さにも富んでいます。石毛氏が「バラエティ豊かに。色々詰め込みました」とおっしゃっている通り、グレード2+ながら、コンクールやコンサートにオススメの演奏しごたえのある楽曲です。
ジョングルール(足立正)
吟遊詩人や大道芸人という意味がある「ジョングルール」。長閑な雰囲気のオープニングを経て躍動的な音楽へ、徐々に熱を帯びてエネルギッシュなフィナーレを迎えます。特に、迫力のあるリズムに合わせ軽快なステップを踏む華麗なアイリッシュダンス風シーンが印象的です。14人から演奏OK。どのパートにも16分音符が登場しないため、曲をさらいやすい構成ながら聴きごたえのある非常に演奏効果の高い楽曲になっています。
足立氏は、この曲の他にも、英国人作曲家ダウランドの「ダウランド組曲」の編曲や、「輝く戦士〜アイルランドの民謡による狂詩曲」など、イギリス&アイルランドにまつわる楽曲を複数手掛けています。
エンシェント・フラワー(西邑由記子)
散りゆく花の繊細な美しさを情感あふれるメロディーで紡ぐ美しいバラード作品です。海外譜グレード2なので高い演奏スキルは必要ありません。「切なさ」「寂しさ」「哀しさ」の表現に挑戦する楽曲として、初心者のみならず中級以上バンドにもお薦めです。緩やかなテンポに8分音符のパッセージで豊かなハーモニーを響かせましょう。強弱を意識すると、より魅力的な演奏になります。
西邑氏は”吹奏楽の父”と呼ばれるアルフレッド・リードの勧めで渡米し、LAを拠点に作曲活動をされています。アメリカのカール・フィッシャー社から複数の楽譜が発売されていますので、お取り寄せについてお気軽にご相談ください。
初心者グレードの楽曲を選ぶ理由は、「部員が少ないから個人のレベルアップがなかなか難しい」「新入生が入部するから演奏しやすい簡単な曲を選びたい」「先輩たちが引退して人数が少なくなっちゃう」など、バンドごとにさまざまでしょう。そんなときこそ『今の自分たちに合った楽譜で演奏する』ことが重要です。各作品の詳細ページでは指揮者用サンプルスコアも公開しています。参考音源を聞きながらチェックすれば、具体的な演奏イメージが湧くでしょう。みんなで合奏して音楽を作り上げていく吹奏楽の醍醐味を体験してもらえれば嬉しい限りです。
[新商品情報]「20人のコンクールレパートリー Vol.5 風姿花伝」 2019.10.10発売
小編成向け楽曲だけを集めた好評CDシリーズの最新作。今回は、福島弘和「風姿花伝〜秘すれば花」の待望の小編成版、樽屋雅徳自らタクトを振った新作「メグルモノ〜ジョン万エンケレセ」を含む7曲(9トラック)を収録。収録タイトルの楽譜の取り扱いも同時スタートします。
島田尚美氏作曲「魔女からの招待状」はグレード2の楽曲です。是非チェックしてくださいね!
吹奏楽を柱とした音楽出版社として2008年に設立いたしました。 「フォスター」という単語には、育てる・育成するといった意味があり、日本の吹奏楽をもっと元気に楽しく発展させていきたいという思いをこめています。みなさまのブラバンコンシェルジュとして、様々な情報を発信していきます。