今回は作編曲家の内田祥子(うちだ よしこ)氏のインタビューをお届けします。
管打七重奏として作曲した『エレジー』が、今回吹奏楽曲として加筆・改訂し、登場。
作品への想いはもちろん、内田先生の作曲家としてのヒストリーも伺いましたのでぜひご覧ください!
「高揚感を吹奏楽でも表現したい」 フーガで伝える緊張感
―『エレジー』はもともと管打七重奏として作曲・演奏されていたと伺いました。作曲のテーマをおしえてください。
はい。以前彩の国さいたま芸術劇場で、シェイクスピアの舞台が上演される度に開演前のプレリュードとして「さいたまアーツ・シアターライブ」という生ライブが行われていました。
そこに2010年に出演させていただいた際に、管打七重奏として作曲・初演した作品です。
その時に劇場で上演されていた作品が悲劇だったため、深い悲しみを感じられるような内容にしたいと思い、タイトルもそのまま「エレジー」としました。
―今回はその『エレジー』を吹奏楽用に手を加え、『吹奏楽のための「エレジー」』として生まれ変わったんですね。
2010年に演奏した以来そのままになっていたのですが、自分ではとても気に入った作品だったためどこかで発表をしたいと考えていました。
今回作曲の機会をいただいたので、その時の作品に大幅に加筆・修正し完成させました。
―作品に込めれられた想いなどがあればおしえてください。
大学時代の恩師・尾高惇忠先生より、レッスンの度に「とにかく歌うことが大事」だと教えていただきました。演奏の中からも、一人一人の歌が聞こえてくると良いなと思います。
古典的なスタイルの作品ですが、様々な時代の音楽を楽しむきっかけになると嬉しいです。
―この曲を演奏する方たちへのメッセージやアドバイスをお願いします。
悲しみの先にある希望のようなものが表現できると良いなと思ってます。重心が低い感じの作品ですが、心は熱く!取り組んでいただけたら嬉しいです。
>>今回ご紹介した『吹奏楽のための「エレジー」』の楽譜はこちら
同級生らと演奏しながら小学校を巡ったボランティア活動
―吹奏楽や作編曲に興味を持ったきっかけをおしえてください。
高校に入学して吹奏楽部に入りたいなぁと考えていましたが、当時音大を受験することに決めていたので親に反対され断念しました。
いいなー楽しそうだなーと思いながらの3年間でしたね。
大学に入ってから、同級生らと木管五重奏とピアノの編成で様々な小学校をボランティア活動で巡り、その時に演奏する曲をたくさんアレンジしたことから今の仕事(作編曲)に興味が湧き、それが十数年続いています。
―作家としての喜びを感じるときはどんなときですか?
演奏者の方が楽しんで演奏してくださり、またそれをお客様が喜んでくださっている時ですね。
―今後の挑戦してみたいことなどはありますか?
吹奏楽のためのオリジナル曲がまだまだ少ないので、もっとたくさん作曲していきたいと思っています。また、子供に向けた音楽劇を作ってみたいと考えています。
―最後に、このサイトを見ている方へのメッセージをお願いいたします。
この度は、拙作をお聞きくださり、またそれに関する文章を読んでくださり、ありがとうございます!
様々なジャンルの音楽を聴き、学び、楽しむことで自分の演奏が色鮮やかに変化してくると思います。いろいろな価値観を持って、素敵な音楽体験ができますように…。
―ありがとうございます。これからも内田祥子先生の作品を楽しみにしています!
吹奏楽のための「エレジー」~序奏とフーガ~
内田祥子
吹奏楽のための「エレジー」~序奏とフーガ~
- 編成: 吹奏楽小編成
- グレード: 4
- 演奏時間: 6分49秒
- FML-0234 フォスターミュージック
- 収録:20人のコンクールレパートリーVol.4 「ちはやふる」
内田祥子(うちだ よしこ)
内田祥子(うちだ よしこ)
神奈川県横須賀市出身。神奈川県立横須賀大津高等学校を経て、東京藝術大学音楽学部作曲科卒業、同大学院修士課程修了。
現代音楽作曲家グループ「Composer Group Cue」のメンバーとして、2001年より活動。同グループより、2007年にCD『Composer Group Cue Works』、2011年に『Composer Group Cue × 大田智美~現代アコーディオン・ソロ作品集』をリリース。
2007年舞台「ヴェローナの二紳士(演出:グレン・ウォルフォード)」の音楽に参加。2008年サクソフォン四重奏団・カルテット・スピリタスのCD「Scene」のアレンジを担当。楽譜がフォスターミュージック株式会社より発売中。2012年「B→C(ビートゥーシー)伊藤圭(クラリネット)」にて「じゅげむじゅげむ~クラリネット独奏のための~」が初演され、NHK-FM「FMリサイタル」にて放送される。2016年映画「モヒカン故郷に帰る(沖田修一監督)」にて、劇中の吹奏楽アレンジを担当。
その他、演奏会やCD、出版、映像作品のための作曲やアレンジを多数行う。特に管楽器を用いた作品には定評があり、演奏会やコンクール等で全国的に演奏されている。演奏家集団「MUSIC PLAYERS おかわり団」メンバー。
これまでに、作曲を加羽沢美濃、尾高惇忠の各氏に師事。
吹奏楽を柱とした音楽出版社として2008年に設立いたしました。 「フォスター」という単語には、育てる・育成するといった意味があり、日本の吹奏楽をもっと元気に楽しく発展させていきたいという思いをこめています。みなさまのブラバンコンシェルジュとして、様々な情報を発信していきます。