今回は作曲家の坂井貴祐(さかい たかまさ)氏のインタビューをお届けします。
明るい曲想から感じる未来への希望、そして演奏者へのエールも込められた『きらめく大空に向かって』は、難易度的にも取り組みやすいのでぜひ多くの方々に演奏していただきたい作品です。
坂井先生の作曲家としての考えや想いも語っていただきましたので、ぜひご覧ください!
インタビュー
「大空」を「未来」のイメージに重ね合わせ、演奏者の背中を押すような作品に
―力強いファンファーレで始まる『きらめく大空に向かって』。作曲のテーマをおしえてください。
「明るい曲想で、難易度的に取り組みやすい作品が欲しい」という要望を受けたので、それに沿えるように作曲しました。
また、いわゆる「海外の教育的作品」のような親しみやすさが出せるように心がけました。今回の企画のための書き下ろし作品です。
-作曲の際に意識したことなどはありますか?
「無駄に難しくならない」ということを意識しながら書き進めましたが、もうひとつ、バンドの皆さんがステージ上で演奏している姿を思い浮かべながら書く、ということも大切にしました。
これはこの曲に限らずいつも意識していることなのですが、演奏者が活き活きした表情をしているだろうか、ワクワクした気持ちになっているだろうか、などを考えることで、作品を客観的に見つめなおすこともできる気がしています。
-この曲に込められた想いを教えてください。
「大空」を「未来」のイメージに重ね合わせ、この曲に取り組むことで何か一歩前進して欲しい、上に向かってどんどん羽ばたいて欲しい、そして、ひとりひとりの演奏者がキラキラと輝いて欲しい、そんな思いを込めました。
-この曲を演奏する方たちへのメッセージやアドバイスをお願いします。
作品の構成は非常にシンプルですので、各部分の表現を工夫したメリハリのある演奏を心がけてみてください。素晴らしい演奏を期待しています!
頭の中で描いていた音が鳴り響き、喜びが満ちる空間
-作家としての喜びややりがいを感じるときはどんなときですか?
それはやはり「自分の書いた曲が音になったとき」です。頭の中で思い描いていたものが実際に鳴り響いたとき、そして、その曲を聴いたお客さんや奏者の皆さんが喜んでくださったとき、「やってて良かった!」と強く思います。
-具体的に記憶に残っている場面などがあればおしえてください。
「2015紀の国わかやま国体」で、自分の手がけた行進曲を450人の音楽隊が演奏し、それに合わせて観客の皆さんが手拍子をし、選手の皆さんが一斉に行進しているのを見たとき、ものすごくやりがいを感じました。
-それはすごい光景ですね!反対に、辛いとき、悔しさを感じるときはどんなときですか?
仲間たちが素晴らしい作品を書いたとき(それを初めて聴いたとき)、悔しさを感じます。「うまいなぁ」「この手があったか!」と。
-今後、挑戦してみたいことなどがあればおしえてください。
まだまだ作品数が少ないので、今まで以上に積極的に曲を作っていきたいです。まだ作ったことがない「コンチェルト」にも挑戦できればいいな、と思っています。
-ありがとうございます。坂井貴祐先生の作品、楽しみにしていますね!
きらめく大空に向かって
「明るい曲想で、難易度的にも取り組みやすい作品が欲しい」との要請を受けて2018年4月に作曲。曲は力強いファンファーレで始まり、大空を滑空しているような幅広い旋律の主題部、少し落ち着いた感じの中間部へと続きます。
作曲にあたっては、「大空」を「未来」のイメージに重ね合わせ、この曲に取り組むことで何か一歩前進して欲しい、上に向かってどんどん羽ばたいて欲しい、そして、ひとりひとりの演奏者がキラキラと輝いて欲しい、そんな思いを込めました。
中間部[I]はフルートソロですが、オーボエがいる場合はオーボエソロで代替も可能、続く[J]のトランペットソロは、場合によってはアルト・サックスソロでの代替、または前半4小節・後半4小節を両楽器で分担演奏することも可能で です。
- 編成: 吹奏楽小編成
- グレード: 3
- 演奏時間: 6分32秒
- FML-0232 フォスターミュージック
- 収録:20人のコンクールレパートリーVol.4 「ちはやふる」
プロフィール|坂井貴祐(さかいたかまさ)
1977年6月10日、北海道生まれ。
北海道中標津高等学校を卒業後、尚美学園短期大学(現・尚美学園大学)音楽学科作曲専攻を経て東京ミュージック&メディアアーツ尚美 音楽芸術表現コース(現・尚美ミュージックカレッジ 音楽総合アカデミー学科3・4年次)を卒業。 卒業後は大村哲弥氏のもとで約2年間研鑽を積む。これまでに作曲を松下功、大村哲弥、延原祐の各氏に師事。
2000年、「セレモニアル・マーチ」がJBA (日本吹奏楽指導者協会)「下谷賞」(最高賞)を受賞。 同作品は2005・2006年度の中部日本吹奏楽コンクール課題曲にも選定された。2015年開催の第70回国民体育大会「紀の国わかやま国体」では式典音楽(入場行進曲)を全曲担当。作編曲作品の多くは、ブレーン、CAFUA、フォスターミュージック、ウィンズスコア、ウインドアート出版、デハスケ、ロケットミュージック等から、出版 またはレンタルされている。21世紀の吹奏楽「響宴」会員。
主な作品に、
「セレモニアル・マーチ」(JBA下谷賞受賞)、「越中幻想」(富山県福野高校吹奏楽部委嘱)、「ルミナンス-光の都市」(陸上自衛隊東部方面音楽隊委嘱)、「ジャンヌ・ダルク」「アプローズ!」(共に航空自衛隊中部航空音楽隊委嘱)、「ペンタグラム」(サックス四重奏:ヴィーヴ!サクソフォーンクヮルテット委嘱)、「シアターミュージック パート1」(金管八重奏:富山ミナミ吹奏楽団委嘱)など。
作曲家・坂井貴祐WEBサイト
坂井貴祐YouTubeプレイリスト
吹奏楽を柱とした音楽出版社として2008年に設立いたしました。 「フォスター」という単語には、育てる・育成するといった意味があり、日本の吹奏楽をもっと元気に楽しく発展させていきたいという思いをこめています。みなさまのブラバンコンシェルジュとして、様々な情報を発信していきます。