作曲のみならず名ピアニストまた、民族音楽研究家としても知られ、自動演奏機械の開発にも力を注いだオーストラリア出身の異色音楽家、パーシー・オルドリッジ・グレインジャー。
昨今、録音のみならず数多くの研究書も刊行されるなど、欧米を中心に再評価されています。
長い吹奏楽人生の中で1度は演奏したい作曲家のひとりです。
リンカンシャーの花束(フェネル校訂版)|グレインジャー, P / arr. フェネル, F
彼の作品の中でも代表曲とも言うべき作品です。
民謡の節回しをそのまま再現することを試み、変拍子や不規則なリズムの変化、装飾音符が多用されています。
作曲当時、各楽器の音色が活かされにくい、軍楽隊的な作品や演奏が主流の中、グレインジャーは各楽器の音色や能力が発揮できるような曲を好んで作曲していました。
そんな折、吹奏楽のための良質なオリジナル曲が少ないことを危惧していた指揮者のエドウィン・フランコ・ゴールドマンの委嘱を受けてこの作品が作られたのは運命的とも言えるでしょう。
1度は演奏したい1曲。
- 作曲: パーシー・オルドリッジ・グレインジャー
編曲: フレデリック・フェネル, マーク・ロジャース - 演奏形態: 吹奏楽中編成(41人〜)
- グレード: 6
- 演奏時間: 16分45秒
- 36-50100300(Ludwig Masters Publications (Alfred))
- 収録:パーシー・オルドリッジ・グレインジャー作品集(2枚組)
コロニアル・ソング|グレインジャー, P / arr. ロジャース, M
タイトルの「コロニアル」とは植民地のことで、故郷オーストラリア(イギリスの植民地)に思いを馳せて作曲されました。どこか懐かしくあたたかなメロディは、故郷への郷愁と母への愛を感じさせます。
グレインジャー作品の中でも重要なレパートリーの一つです。
- 作曲: パーシー・オルドリッジ・グレインジャー
編曲: マーク・ロジャース - グレード: 4
- 演奏時間: 7分0秒
- S673CB(Southern Music (Hal Leonard))
- 収録:パーシー・オルドリッジ・グレインジャー作品集(2枚組)
子供たちのマーチ「丘を越えて彼方へ」|グレインジャー, P / arr. ロジャース, M
愛らしく親しみやすい行進曲。
冒頭から、元気な幼稚園児が丘を登ってピクニックにでも出かけているような微笑ましい風景が目に浮かびます。
吹奏楽曲、特に行進曲としては珍しく、ピアノに重要な役割が与えられています。
- 作曲: パーシー・オルドリッジ・グレインジャー
編曲: マーク・ロジャース - グレード: 4
- 演奏時間: 7分0秒
- S673CB(Southern Music (Hal Leonard))
- 収録:パーシー・オルドリッジ・グレインジャー作品集(2枚組)
デリー地方のアイルランド民謡|グレインジャー, P / arr. ロジャース, M
素朴な旋律に多彩なオーケストレーションを与えたこの作品は、グレンジャー作品の中でも特に演奏機会が多く、代表作のひとつと言えるでしょう。
ステージを感動的に彩る一曲。
- 作曲: パーシー・オルドリッジ・グレインジャー
編曲: マーク・ロジャース - グレード: 3
- 演奏時間: 4分45秒
- S665CB (03777987)(Southern Music (Hal Leonard))
- 収録:パーシー・オルドリッジ・グレインジャー作品集(2枚組)
不変のド|グレインジャー, P / arr. クレインス, J
原曲は3手のためのピアノ作品で、ひとりは「ド=C」の音を淡々と弾き続け、全曲を通してC音が鳴り続けます。
和声によってC音の色彩がどんどん移り変わるのが面白く、またひとつの音程にフォーカスし続けるという耳の訓練の観点からバンドトレーニングの作品としても相応しいでしょう。
コンサートバンドでも、木管のクワイヤーでも演奏できます。
- 作曲: パーシー・オルドリッジ・グレインジャー
編曲: ジョセフ・クレインス - 演奏形態: 吹奏楽大編成(50人〜)
- グレード: 4+
- 演奏時間: 4分15秒
- 50486319(G. Schirmer (Hal Leonard))
- 収録:パーシー・オルドリッジ・グレインジャー作品集(2枚組)
パーシー・オルドリッジ・グレインジャー作品集(2枚組)
吹奏楽作品として愛される23作品を2枚組全127分にまとめました。後世に残るグレインジャー・ベストとなるでしょう。
- 演奏: ノース・テキサス・ウインド・シンフォニー
指揮: ユージン・コーポロン - CD-656(GIA Publications)
編集後記
「これが紹介されてないじゃないか!」とお叱りの声も聞こえてきそうですが、本当にどの曲も愛らしく親しみやすい作品ばかりで、選ぶのに苦心しました。
まだ演奏したことがない、という方はぜひこれを機にグレインジャーの世界に触れていただきたいなと思います。
吹奏楽を柱とした音楽出版社として2008年に設立いたしました。 「フォスター」という単語には、育てる・育成するといった意味があり、日本の吹奏楽をもっと元気に楽しく発展させていきたいという思いをこめています。みなさまのブラバンコンシェルジュとして、様々な情報を発信していきます。