高嶋圭子 「夜の静寂に」 「メモリーズ」6.22発売
去る6月10日、東京文化会館で開催された「荻野昇 トロンボーンリサイタル2017」で演奏され、好評を博した2作品が出版となります!
夜の静寂に: In the Still of the Night
高嶋圭子
もとは、2001年の荻野昇氏のリサイタルのために書かれ、さらにその後10年の時を経て2011年彼のリサイタルでの再演の機会が与えられたことを機に後半を大きく書き改め、ようやく完成した作品です。
冒頭はトロンボーンのベルをピアノ内部に向けて吹き、共鳴させて生じる響きから始まる。夜が更け、街の灯りも次第に消えゆく深夜、あたりは静寂につつまれる。耳を澄ませると遠くはるか彼方から聞こえてくる音たち。次第にそれらは音楽となり遠い世界へと誘ってゆく。無限に広がる宇宙への想いが、荻野氏のビロードのように深く柔らかくトロンボーンの響きと絡み合いながら果てしなく続いていく・・・。
作曲から長い時間が経ちましたが、この度出版の運びとなりましたことを、誠に嬉しく有り難く思います。(高嶋圭子)
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夜の静寂に: In the Still of the NightFME-0363 フォスターミュージック (fostermusic Inc.) ●作曲:高嶋圭子 (Keiko Takashima) ●編成:トロンボーンソロ ●演奏時間:8分0秒 |
メモリーズ: Memories
高嶋圭子
もとは1997年パリ・トロンボーン四重奏団の日本での最後のコンサートために作曲したトロンボーン四重奏曲であり、後にパリ・トロを敬愛してやまない荻野氏の1999年のリサイタルのために、トロンボーンソロにリアレンジ、初演されました。
全体は原曲と同様に四つの部分によって構成されており、1.バラードでは短い序奏に続き主題が穏やかに流れ、続く2.タンゴでは一変し軽快な曲調に変化します。ゆったりと流れる旋律を持つ3.レクイエムは、ハラヤミュージックエンタープライズの故・原谷晴夫氏に捧げた曲。鎮魂歌ではありますがそれは悲しみの音楽ではなく、パリ・トロとの出逢いをもたらしてくれた氏に対する感謝の気持ちから生まれた音楽なのです。そして最後に4.フィナーレでは主題が様々な変容を遂げながら現れ、コーダへと盛り上がり最後に堂々としめくくられます。
「メモリーズ」には、パリ・トロとの思い出の数々、そしてそれら全てに関ってくださった人々との貴重な出来事への様々な思いがこめられています。(高嶋圭子)
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メモリーズ: MemoriesFME-0364 フォスターミュージック (fostermusic Inc.) ●作曲:高嶋圭子 (Keiko Takashima) ●編成:トロンボーンソロ ●演奏時間:8分0秒 |
編集後記
2017年6月10日(土)東京文化会館にて、東京交響楽団首席トロンボニスト荻野昇氏のリサイタルが開催されました。
この度出版の運びとなりました高嶋先生作品「夜の静寂に」「メモリーズ~ソロ版」の先行発売準備のため一足お先に会場へ伺いましたが、到着するとすでに開場を待つお客様がお並びでいらっしゃいました。
開演と同時に扉越しに聞こえてくる甘い音色に魅了されているうちに瞬く間に時が流れ、途中の休憩時間にロビーへ出てこられてたお客様もごみなさま大変満悦のご様子。「メモリーズ~ソロ版」がプログラムのラストを飾ると、鳴り止まぬ拍手に応えて「夜の静寂に」が演奏されました。
想いの詰まった作品が心を込めて演奏されること。ごくごく自然なことではありますが、そんな音楽の素晴らしさを改めて感じることができた演奏会でした。
多くの奏者の方々に、素敵な作品をご案内していけるよう、これからも日々精進していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた次回。(み)
吹奏楽を柱とした音楽出版社として2008年に設立いたしました。 「フォスター」という単語には、育てる・育成するといった意味があり、日本の吹奏楽をもっと元気に楽しく発展させていきたいという思いをこめています。みなさまのブラバンコンシェルジュとして、様々な情報を発信していきます。