フレキシブル編成の可能性を考える
21世紀の吹奏楽~小編成レパートリー・プロジェクト
去る19日(日)、今年も21世紀の吹奏楽~響宴が開催されました。
今年で20回目だそうで、この20年の日本の吹奏楽界の変遷、特に出版界を振り返ると、響宴が寄与してきた功績は絶大だったと感じます。
そんななか、昨年からスタートした「小編成レパートリ・プロジェクト」も、今後重要な役割を担ってくるのではないかと思います。
往年のレパートリーからフレキシブル編成の新譜まで幅広く、かつ演奏交えた実践的な紹介で、出版社の立場としてこれからの小編成レパートリーを考えるうえでとても参考になりました。
「21世紀の吹奏楽~小編成レパートリー・プロジェクト」で紹介された作品の中から、特にオススメの3作品をご紹介します。
ソロモンの指輪(6パート+opt.3打楽器):
広瀬勇人
フレキシブル6パート+オプションの打楽器3パートですが、打楽器はドラムセットを使用すると1人でも演奏できるため、最低7人のアンサンブルで演奏可能です。
大編成の吹奏楽編成にはもちろんのこと、コルネットやアルトホルン、バリトンといった、いわゆる金管バンドで使用される楽器にも対応しているので、金管バンドでの演奏にもオススメです。
こちらはブレーンさんの出版ですが、弊社作品の中でも極小編成といえば広瀬勇人作品をまずオススメするので、演奏効果については間違いありません
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ソロモンの指輪(6パート+opt.3打楽器):FLMS-87054 ブレーンミュージック (Brain Music) |
ニュー・ベネット・バンド・ブック 第1巻(全12曲-フルスコア): The New Bennett Band Book – Vol.1 (Full Score)
ベネット, H / arr. クラーク, L
20世紀半ば、アメリカで初級バンドのため教材として親しまれた作品の復刻版です。
通常の吹奏楽形式のスコアになっていますが、ほのすべて5声部+打楽器で書かれているので、10人以下のバンドでも編成次第で演奏可能ではないでしょうか。
スコアとパート譜は別売りとなっており、カール・フィッシャーのページで全曲試聴もできます。
こういう教材は絶版になって欲しくないものですね。
ちなみに第2巻もリリースされています。
商品ページへニュー・ベネット・バンド・ブック 商品一覧 |
ニュー・ベネット・バンド・ブック 第1巻(全12曲-フルスコア): The New Bennett Band Book – Vol.1 (Full Score)CF JB73 カール・フィッシャー (Carl Fischer) |
ディズニー・アニメお気に入りメドレー(5パート+打楽器): Disney Film Favorites
/ arr. ヴィンソン, J
美女と野獣、ライオン・キング、アラジン、リトル・マーメイド、みんな大好きディズニー・アニメのメドレーがフレキシブル編成で出版されています。
5パート+打楽器の編成で、吹奏楽だけでなく、木管、クラリネット、サックス、金管のような5重奏の編成でも演奏できる使い勝手のいいアレンジになっており、極少人数から演奏できるので、ミニコンサートなどにもオススメです。
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ディズニー・アニメお気に入りメドレー(5パート+打楽器): Disney Film Favorites04003268 ハル・レナード (Hal Leonard) |
「中世・ルネサンス組曲」〜さまざまな編成のバンド、アンサンブルのための: Medieval Renaissance Music Suite for band or ensemble
ジェルヴェーズ, C / arr. 鈴木英史
●番外編
響宴では紹介されませんでしたが、この作品も実は極小編成でも演奏できます。音楽を学ぶ上での第1歩として、「4声体」「和音(カデンツ)」の基本を学ぶ教材を意図して作られていて、しっかりとした西洋音楽の基礎を学ぶにはうってつけです。4声があれば成立するので、アンサンブル用としても使えます。
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「中世・ルネサンス組曲」〜さまざまな編成のバンド、アンサンブルのための: Medieval Renaissance Music Suite for band or ensembleFML-0161 フォスターミュージック (fostermusic Inc.) |
編集後記
ここまで紹介しながら反対のことを言うようでアレなのですが、フレキシブルで書かれた楽譜の実際の演奏をいくつか聞き、やはり全面的にはオススメできないというのが正直なところなのです。使い勝手は抜群にいいし、編成を自分たち仕様に変更するのに許可を得る必要もないし、いろいろと面倒は少ないと思うのですが、楽譜通りにきちんと演奏してしまうと、吹奏楽ならではのサウンドの変化が楽しみにくい部分があると思うのです。そういう工夫が必ず出てくるという点で逆に難しいんじゃないかなと思ったり・・・ とはいえ、やはりフレキシブルはまだまだ可能性があると思うので、良いところも難しいところも含めて、こんな使い方はどうですか?と一歩踏み込んだご紹介できるように研究したいと思います。 本家、響宴のレポートは金井が担当していますのでぜひ合わせてお読みいただければ幸いです 最後までお読みいただきありがとうございました。 それではまた次回。 |
吹奏楽を柱とした音楽出版社として2008年に設立いたしました。 「フォスター」という単語には、育てる・育成するといった意味があり、日本の吹奏楽をもっと元気に楽しく発展させていきたいという思いをこめています。みなさまのブラバンコンシェルジュとして、様々な情報を発信していきます。