2016〜2017年にフォスターミュージックからリリースされた新作4作品をご紹介します。
福島弘和氏の音の引き出しの多さは、プロの演奏家さえもうなるほど。さまざまな表情のメロディーを紡ぎ、演奏者や観客を魅了する曲を作りあげます。
バラエティに富んだ福島弘和のメロディー
プロの演奏家が「すべてが福島作品なのに、それぞれ印象が違う。音の引き出しが多い」と評する福島作品。「ラッキードラゴン」や「シンフォニエッタ第2番」など、コンクールで人気の高い作品が特に有名ですが、音楽と語りのための作品や、アンサンブル作品など、生み出される楽曲は実に多彩です。
その多様な音楽は、福島弘和氏自身がオーボエ奏者としても参加する、“アンサンブル・ポワール”のコンセプトにも現れているかもしれません。クラシックを主体としながら、“みて楽しい・聴いて楽しい”コンサートを目指す演奏。
パフォーマンスやコメディと音楽を融合させを行い、クラシック音楽になじみのない人々にも、興味をもってもらうための柔軟な発想と優しさ。それこそがバラエティーに富む福島作品メロディーの、根幹をなしているといえるでしょう。
とぅばらーま〜八重山民謡による幻想曲: “TUBARAMA” Fantasia on Yaeyama folk songs
福島弘和
「道祖神の詩」や「てぃーちてぃーる」、「じんじん」、「星の砂」など、琉球音階の曲調でもよく知られる福島弘和氏。今回の新作も、そんな沖縄民謡を主題とした作品です。
日本最南の八重山諸島。「とぅばらーま」は、八重山諸島に伝わるおおらかで情熱的な恋唄です。基本形はあるようですが、唄い手によって、長さや合いの手もいろいろのようです。
生活に根ざした自由な民謡を、福島弘和氏が見事にアレンジ。男女のかけ合いで唄われる「とぅばらーま」を、トゥッティとソロという形で表現しました。
優しさの中に力強さや華やかさ、波の情景をも感じさせます。のどかな恋唄は、やがて明るくリズミカルな島唄のリズムへ。吹奏楽だからこそできる豊かなかけ合いを楽しみながら演奏してください。
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とぅばらーま〜八重山民謡による幻想曲: “TUBARAMA” Fantasia on Yaeyama folk songsFML-0184 |
アダージョ〜「とぅばらーま」の主題による: Adagio – “TUBARAMA” Fantasia on Yaeyama folk songs
福島弘和
“仲道路から七けーら通け…”と伸びやかに唄われる「とぅばらーま」。福島弘和氏は、最初、吹奏楽伴奏ホルンソロとして、「とぅばらーま」をアレンジしました。それをピアノリダクションにしたのが、今回の楽譜です。
ゆったりとのどかに演奏されるのは、女性的なピアノの音色と、男性の声を思わせる温かなホルンの音のかけ合い。美しくも切ない曲調は、どこか懐かしさや静かな大自然を感じさせます。前述した吹奏楽版の「とぅばらーま〜八重山民謡による幻想曲」とは、受けるイメージが違い、穏やかなメロディーの中で、深呼吸をしながら身を漂わせたくなります。
ちょっとしたサロンコンサートにもおすすめの一曲。
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アダージョ〜「とぅばらーま」の主題による: Adagio – “TUBARAMA” Fantasia on Yaeyama folk songsFME-0357 |
白鳥の旅立ちの日に: When the swans leave
福島弘和
白鳥は毎年3000〜4000kmの旅をして日本で越冬し、春の訪れとともにまた旅立っていきます。一見優雅に見える白鳥ですが、じつはとても力強い鳥といえるでしょう。
そのような白鳥が間近にみられる福島県の伊達市。伊達小学校の委嘱作品のテーマに福島弘和氏が選んだのが白鳥でした。
小学生に向けての楽譜なので、グレードは比較的易しい2+。しかし、大空を渡る白鳥のように、力強く伸びやかなメロディーが空中へ広がっていきます。
集団で渡る白鳥のように、それぞれのパートが1つとなり、演奏するのに最適な楽譜です。
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白鳥の旅立ちの日に: When the swans leaveFML-0193 |
交響詩曲「西遊記」(小編成版): Symphonic Poem Journey to the west (Small Band ver.)
福島弘和
京都と奈良の高等学校から、”物語をそのまま音楽にする”という共同依頼を受けて、福島弘和氏が選んだのが「西遊記」。
京劇を感じさせる華やかでにぎやかなオープニング、癒しを与えるような穏やかなメロディー、胸騒ぎを覚えるような妖怪との対峙、戦いの勇ましいメロディーなど、冒険の物語らしく、くるくると曲調が変わります。楽しさや親しみやすさを感じるのは、どことなくコミカルな音が、ひょっこり顔を出すからでしょうか。
音の重なりがとてもかっこよく品のある力強さが感じられ、聴く人を引きつける、そんな一曲です。
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交響詩曲「西遊記」(小編成版): Symphonic Poem Journey to the west (Small Band ver.)FML-0170 |
聴く人を魅了する福島弘和作品にトライ!
バラエティに富む福島弘和作品ですが、共通なのは”聴きやすく、響きがよい”こと。吹奏楽で私用される各楽器の魅力が引き出されたメロディーとなっています。聴く人に音楽の楽しさを伝えたいという想いから紡ぎ出されるメロディーが、さまざまな印象の曲となっていくのでしょう。吹奏楽の魅力を伝えるのに最適な福島弘和作品に、一度チャレンジしてみてください。 |
吹奏楽を柱とした音楽出版社として2008年に設立いたしました。 「フォスター」という単語には、育てる・育成するといった意味があり、日本の吹奏楽をもっと元気に楽しく発展させていきたいという思いをこめています。みなさまのブラバンコンシェルジュとして、様々な情報を発信していきます。